恋じゃなくなる日

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▽side


東京から1時間くらいで辿り着くとある一軒家。
高台にあり海を一望できるその家は
まるで家主を守るようにひっそりと佇んでいる。
リビングに通じる廊下を歩いて行く。
窓辺にある古びたロッキングチェアに腰掛けて、
彼はぼんやり眼下に広がる海を見ている。



「……来たよ」



声にピクリと反応して振り向き微笑む彼は
今にも消えてしまいそうなくらい儚い。



「……タカ」

「なに、見てたの？」

「うん……？海。寒いから人も少ないね」

「そか。そうだね」

「ねぇ、タカ…？」

「なに」

「……ごめんね」




……こいつが表舞台から姿を消して1年。
あることないことで世間から非難を浴びる。
そんなことが続いた手越は、心を壊わし
眠れない日が多くなっていた。



＜どうしてなんだろうね＞



泣くでもなく怒るでもなく笑う手越は
何もかも諦めた顔をしていた。
時間の許す限りそばにいて
守ってやりたいと思いながら、
仕事に追われてそれもままならない日々が
続いたある日、とうとう手越の心の糸が切れる。



＜おれ、もうわらえないよ……＞



負けず嫌いな手越が初めて洩らした弱音。
事務所とメンバーと相談した結果、
無期限の休養に入ることが決まった。









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