【コミュ症】彼女は無表情無口そして不動【鬼滅の刃】 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:843 hit

最終選別です。ページ1

竈門炭治郎は、息を飲んだ。
彼が今居る場所は藤襲山。･･･鬼殺隊最終選別の会場である。
鱗滝左近次の元で約一年半修行に耐えて抜いてきた炭治郎。
今正に、鬼となってしまった妹を助ける為に、自分の他に鬼の被害を受ける者がいなくなるように、最終選別に合格する為に、鬼を･･････滅する為に、藤の狂い咲く階段を登り切った所だった。

そこで、彼は見たのだ。

竈「･････････雪の精だ。」

その女を。

彼女はこの世のモノでは無かった。
木蓮のような白い肌、濡鴉色の髪、髪の同色の睫毛は藍色の瞳に影を作るように覆いかぶさっていた。薄桃色の唇は白い肌によく映える。
瞳と同じ藍色の袴の袖は、白く染まっていた。

ふと、周りに目を向けると────

「美しい･･･」

「なんか、いい匂いする。」

「あんな可愛い子が･･････」

その場に居る男は皆、彼女を見詰めていた。
それもそうだ、普段なら絶対に会えない、街ですれ違ってでもしたら思わず声を上げそうな程の美女である。

･･･いい匂いだと？

竈門炭治郎は自身の鼻が常人の倍以上にいい事を思い出した。
そこからは早い。
彼は鼻から思いっ切り空気を吸い込んだ。

ﾌﾜｯ

竈「！！！！」

鼻腔を擽ったのは、優しい爽やかな香り。
鼻の中一掃する様な初めて嗅いだ香りだった。
うわっ、いい匂い。

この時、彼がよく匂いを嗅いでいれば、これから起こる彼女の日常は違ったかもしれない。

・

・

『(沢山の人から見られてる･･････。)』