死神の方程式

FILE.1 　 プロローグ ページ1

『久々に帰って来た気がする…』

病院をあとにし、一歩踏み出したところで立ち止まり

肺いっぱいに空気を吸い込んで、深呼吸する。

『生きてる…』

当たり前のことに少し嬉しくなって、訳もなく帰路を急ぐ。

交通事故に巻き込まれた俺は、ずっと入院していた。
それこそ数ヶ月は…。

そしてたった今、退院した。

だからなのか、色々な当たり前に少し感動していた。

「キャーーー!!!」

前言撤回。
米花町の当たり前には感動できない。
いや、ある意味ではできるか？

俺の事件遭遇率そんなに高くないのに、なんだ、今日は厄日か何かか!!?

そんなこと考えながら刃物を振り回している男を見ていた。

そして驚いた。

いきなり男の顔面に超高速で飛んできたサッカーボールが命中したのだ。

え、何事…。

「確保ー！」

男は即逮捕された。
めでたし、めでたし…って、

そんなことよりサッカーボール!!

サッカーボールが飛んできた方向を見ると、少年と目があった。

なんか、どっかで見た気が…？
というか、めっちゃアイツに似てね？

とか思ってたら少年が一言。

「退院できたんだな!!」

『やっぱりお前かよ!!』

絶対居ると思った！
そうじゃないと事件に遭遇しねぇし！

「おかえり、A」

『ただいま、工藤』

どうやら本当に工藤らしい…。

工藤がお見舞い来ないとかおかしいと思ってたけど、

まさか…。

工藤が小さくなってるとは…。

FILE.2 　 プロフィール→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す