＊ ページ4
.
｢へぇ、神崎Aって言うんだ｣
何をするかと思えば、彼はわたしの首にかけられた社員証を手に取りひとりごとのようにそう呟いた、かと思えば、次に聞こえてきた言葉は信じられないものだった
｢Aちゃん、俺の部署に来ない？｣
｢は？｣
菊池さんの部署、というのは言うまでもなく社内で一番の出世コース
そんな部署の中でも上に立っている菊池さんに人事権まであるのかどうかは知らないけれど、とにかく、そんな所へわたしを呼ぶ菊池さんの意図がつかめない
｢嫌？｣
｢嫌って、、そんな簡単に決められることじゃないですよね｣
｢まぁね｣
わたしの社員証に視線を落としながらそう言う菊池さんの無責任過ぎる発言に少しイラついた
｢でも、｣
そう言い突然わたしの社員証に触れていた手をパッと離すと、菊池さんはわたしに視線を合わせた
｢俺ならできるよ｣
初めて見る真剣な目に、わたしは次の言葉が出なかった
｢お取り込み中？｣
なにも言わないわたしをなにも言わずに見つめる菊池さん、沈黙に耐え切れなくなってきた時、屋上の入口から声が聞こえた
振り向くとわたしの部署の先輩、つまり直属の上司である健人さんが居た
｢悪いけど返してもらえない？俺の部下なんだよね｣
わたしと菊池さんを引き離し、その間に割り込むようにしてわたしの前に立った健人さんの表情は後ろからだから分からない
社内でもほぼ全員が暗黙の了解とでもいうように2人は仲があまり良くないということを知っていた
わたしも聞いたことがあったけれど、まさかこんなにバチバチしているとは思わなかった
｢なに、邪魔しに来たの？｣
｢は？勝手にウチの部署から引き抜こうとしてる奴が何言ってんだよ｣
｢Aちゃん優秀だから、欲しいのは当然じゃない？｣
目の前で為される棘しかない言い合いに唖然としていると、余裕のある笑みを浮かべている菊池さんに対して、健人さんが呆れたように溜め息をついた
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 609人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
り〜な(プロフ) - すっごいおもしろいです！！応援してます！！更新頑張ってください！！ (2017年7月7日 17時) (
レス) id: b4cb5aa047 (このIDを非表示/違反報告)
スリスリ(プロフ) - すごい面白いです> < 応援してます！更新頑張ってください！ (2017年7月7日 0時) (レス) id: 551fea5303 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 碧さん» そう言って頂けて凄く嬉しいです！！更新頑張ります *(^o^)/* (2017年2月9日 20時) (レス) id: 8cd370e255 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - ｸﾙﾐさん» ありがとうございます！！どんどん更新していけるように頑張ります (*^_^*) (2017年2月9日 20時) (レス) id: 8cd370e255 (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - アリスさんの作品大好きです(*^^*)更新楽しみにしてます＊ (2017年2月9日 19時) (レス) id: 9bc32be432 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アリス | 作成日時：2016年8月2日 21時
