my princesses２ (ページ10)

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(JH side)

JH「Aヤ、着いたよ」

事務所に到着して、Aを起こした。

『…ん、ありがと』

目が覚めてひとつ大きく伸びをしてから、2人で車を降りた。先に降りたメンバー達の中で、僕たちの前に降りたスングァンとシューリンの背中を追いかけた。

事務所の前には、数人のファンの子らしき子達が立っていて僕たちを見て小さな歓声をあげていた。一応出待ち、と呼ばれるその行為は禁止されているものの、ファンの子達、もちろん僕たちのファンの子達だけでなくお兄さん達のグループのファンの子達とか。事務所の外観だけを見に来たりもしているからなんとも言えないのが現状だ。

「ユ・A！」

何処からか甲高い声がして、僕たちはてっきりAの熱烈なファンの子だと思ってたんだ。それが後悔することになるなんて。

*

(A side)

ジョンハンの隣に居たら、なんだか空気が暖かくて思わず眠っていた。起こされて支えられながら車を降りる。前を歩くシューリンが、会社の前にいたファンの子に手を振っているのが見えて、その優しさと可愛らしい姿に思わず微笑む。

そんな時、聞こえた「ユ・A！」とわたしを呼ぶ声が聞こえた。

被っていたバケットハットを少し上げて、目を合わせた。

「オンニ、なんで無視するの…？」

ハッと気づいた時には手に温かいものが流れ出るような感覚がして、身体が動かない。

JH「A！！！」

マネージャーオッパ達を始め、スタッフさんがその人を押さえていて、わたしはジョンハンに体を抱き寄せられ、ウジがわたしの手にタオルを巻いて高く上げた。

HS「ヒョン、中に…！」

慌てているホシの震えた声と、叫び声に近い女の子達の声。自分のことなのに、自分のことじゃないようで全てがスローモーションのように動いていた。やけに冷静で、なんだろう。この出来事をもう1人の自分が見ている、そんな感じ。

ジョンハンに抱きしめられながら、事務所の中に入る。振り返れば、取り押さえられる彼女の姿と地面に点々と落ちていたそれが目に入った。

JH「ホシヤ、今すぐスタッフさん達を呼んできて。エイシは運転ができるマネージャーヒョンかスタッフさん、それとシュリイとスングァナ。メンバー呼んでこれる？僕とウジはここで軽く手当しているから」

ジョンハンも冷静なのか、そう見せているのか。わたしの手を押さえる手に力が更に加わった。