my princesses２ (ページ6)

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第四十話ページ6

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あの日は結局、夜もなかなか寝かせてもらえず。まぁ、それを受け入れたのもわたしだからなにも言えないけれど。

シューリンとご飯に行く時とは違って、久しぶりに丸一日外に出たなと思いながらまた今日も作業室に来ていた。大邱での1ヶ月間は何もすることがなかったから、家の中に篭っていたけど、ソウルへ戻ってきて、そうもいかない気分になるのはある意味SEVENTEENという一種の職業病なのだろうか。

画面の中に並ぶ歌詞と、メロディーラインを見ながら昔のことを思い出していた。

*

『ジフナ、ボムジュオッパに曲作り習って凄いの作ったんだって？』
WZ「いや、全然。触りしか出来てない」
『それでも！凄いってボムジュオッパがわたしのところに報告に来たよ。ねぇ、どんな曲作ってるの？』

ジフンはスマホを差し出すと、作ってきた触りだけを流すけどボムジュオッパの言う通り、一瞬で心を掴まれた。

練習生として事務所に来た時からジフンは一際目を引く存在で。スンチョルも歌もダンスも新人の子に負けたと思ったのは初めてだとも言っていたし。

WZ「ヌナも作ってるって聞いたけど」
『たまにね』
WZ「聞かせて。聞きたい」

こないだボムジュオッパとお遊びで作った曲。世に出せるほどのクオリティーではないし、これは人に聞かせられるようなものでもなくて。それにあんな凄いモノを聞いた後にジフンにわたしのものを聞かせるなんて、少し気が引けるけど。

スマホを操作して、ファイルを開く。

『あのね、ジフナ。ヌナの作った曲は本当に人に見せるやつじゃないのね』
WZ「うん。それでも聞きたい」

言い出したら聞かないのはジフンの悪いところだ。

『絶対ショボいと思っても口に出さないでよね』

ジフンはひとつ大きく頷いて、「分かった」と言うから曲のデータの再生ボタンを押した。

曲が再生し終わってもなにも言わない自分に心配になりながら『どう…？』と言えば、ジフンは目を輝かせる。

『なにその顔、ちょっと怖いんだけど…！？』
WZ「いや、ヌナ。この曲どっかで出さないの？」
『………出さないよ。ていうか、曲にもなってないぐらいの曲だから』
WZ「なんで？俺は出して欲しいんだけど？」
『まぁ、…考えとく』

そう言ってその場ではもうこの曲は一生触れることがないだろうと思っていた。そんな曲が数年後、コンサートのソロ曲で歌われるなんて今のわたしもジフンも知るはずがなかった。