my princesses２ (ページ44)

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第六十五話ページ44

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(SC side)

Aがステージへ駆け上がっていく背中を見た時。俺の中の重荷が全て降りたようなそんな気持ちだった。俺のやることは今、終わったな、と。

ホテルで休んでいれば、扉がノックされて「開いてるよ」と返すとAが顔を覗かせた。

『お兄さん、暇でしょ』
SC「忙しいんだけど？」
『なになに？またそんなこと言っちゃって〜』
SC「ジョンハニは？」
『寝てる。だから来たんだよ、スンチョリに会いに』
SC「Aがくるとなんか怖い」
『なんでそんなこと言うかなぁ！ほら、これ持ってきたのに』

差し出されたのは焼酎の瓶。わざわざ現地調達して、ネットで買ってホテルに届けてもらうようにお願いしたのだと笑っていた。

SC「ほら、俺の予想は当たってた！」
『怖くないでしょ！』
SC「俺らの中でも呑まないAがこれ持ってくんのが怖いんだって！」
『アハハ！誰も全部呑もうって言ってるわけじゃないじゃん！程々に楽しもうよ』

Aは休止期間を経てから、愛嬌というか可愛らしい部分が増えたように感じる。今までがそうじゃなかったわけではないけど、愛嬌が多いのはシューリン、クールだと称されるのがAだった。

ファン達からもクールな顔立ちなのに愛嬌担当シューリン、愛嬌のある顔でクールビューティーなAなんて言われていたし。

『一杯だけでいいから呑もうよ、いっしょに』
SC「それはいいんだけど」
『はい、カンパ〜イ！』

だけど、帰ってきてからはシューリンにも負けないぐらいの愛嬌が多くて弟達が「ヌナがなんだか可愛らしくなっている」なんて言ったもんだから、Aが拗ねて少し大変だったこともあったりして。

SC「Aってさ」
『うん』
SC「なんか、変わったよな」

目を丸くさせて数回瞬きをしたあと、ケラケラと笑い出した。

『一杯目で酔った？』
SC「逆に酔うと思う？」

また『それ似たようなこと、こないだ言われた』と声を出して笑った。

『ソウルにお母さん来てたんだよね。それで、いっしょにご飯食べに行ったんだけど』
SC「2人で？」
『うん。その時にお母さんにもね、Aが小学生とか中学生の頃に戻ったみたいって言われたんだよね』

お酒の入ったグラスに目線を送りながらAは続ける。

『よくよく考えたら、わたしが早く大人にならなきゃって思ってた時期があってね。それがちょうどその時で、その時になんか全部が変わったっていうか…』

フッと小さく笑う。