my princesses２ (ページ41)

今日:285 hit、昨日:391 hit、合計:148,880 hit

第六十三話ページ41

*

ジャカルタの空港に向かう道。いつもはボカチ車が多いけど、今日はバラバラ。クプスがいて隣に腰を下ろした。

『おはよう』
SC「おはよ」

サイン会をお休みした日よりは、顔色が良く見えて微笑むとクプスはわたしの頭を撫でて同じように微笑む。

SC「ちょっとさ、ジョンハニに怒られるかもだけど」
『内緒にしたら怒られないんじゃない？』
JH「聞こえてるけど？」
『ゲッ…』

どれだけ地獄耳なのか。後ろに座っていたジョンハンは身を乗り出してこちらを覗きこむ。

SC「ハハハ！ジョンハナ、Aの肩借りていいか？」
JH「今日は許してあげる」
『いや、ユンに許可取るのはおかしくない？』

2人は「借りま〜す」、「どうぞ〜」なんてもはやわたしを置いてけぼりにしてケラケラ笑う。クプスはわたしの肩に頭を置いて、目を閉じる。

『おやすみ』

敢えて触れなかったけれど、震えていたその手に自分の手を重ねれば、安心したのか否か小さく息を吐く音が聞こえた。

*

『クプスヤ、着いたよ』

肩を叩けば目を擦って伸びをした。

SC「すげぇ、俺めっちゃ寝てた」
『わたしのおかげだねぇ』
SC「まさに。ありがとう」
『ど、う、いたしまして…！』

冗談を言えば冗談で返されるかなと思っていたけど、真剣に返事が返ってきて少し恥ずかしくなった。

『…大丈夫そう？』
SC「うん。イヤホンしてるし」
『うん』

エスクプスはフッと笑って「そんな心配そうな顔しなくても」と言う。自分がどんな顔をしていたかは分からないけど、心配だったのは事実だ。

『ごめん』
SC「いや、有難い。俺のことも心配してくれる人がいるなんて、って」
『当たり前でしょ。友達…、親友だし』
SC「同郷だからな、俺たち」
『知らなかったけど小学生からの友達だしね。知らなかったけど』
SC「そこは強調するんだな」
『うん。大事なことだから2回言っといた』
SC「ハハ！そうだな」

2人して笑っていればジョンハンから「お二人さん、降りますよ〜」とまた間から顔を覗かせて声を掛ける。

『はーい！行こ、スンチョラ』
SC「うん。ありがとな、A」
『さっきも聞いたよ〜』
SC「ハハハ、うん。何回でも言うよ。ありがと」

まっすぐ見つめてそう言うから、また恥ずかしくなってひとつ大きく頷いて返してみせた。