my princesses２ (ページ29)

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(SR side)

ーーーオンニ、居なくならないよね？

たった一言なのに口が開かない。声が出なかった。前に“居なくならないで“と言ったこともあった。でも今の顔を見ると何故か言えなくて。

『あのね』
SR「う、ん…」
『明日、会社に言うつもりだけど。わたし、グループに戻るから』

手が滑ってアイスのスプーンが音を立てて床に落ちた。

SR「ほ、本当に…？」
『うん。ずっと考えてたの。だけど今日ね、ユンと話してて戻ろう、戻りたいって気持ちが大きくなったから』
SR「オンニ…、大丈夫なの？」

あんな事件があって戻ってくる保証もできない中、オンニは多分きっといっぱい考えたのだろう。

『みんなにも明日言うつもり。待たせてごめんね』

微笑むオンニの顔が歪む。泣いていると自覚するのに時間は掛からなくて、ただ首を横に振る。

SR「良かった、本当に良かった…！」

Aオンニに勢いよく抱きついた。涙がオンニの洋服に付いてしまうことも気にせずに。

『アイゴ、アイゴ。ウリシュリイヤ〜、そんなに泣かないで』
SR「だって…！嬉しくて！」
『シュリイのことそんなに泣かせちゃったら、わたしがスングァニに怒られちゃうんだけど？』

フフッと小さく笑ってわたしの頭を撫でた。それでもワンワンと、まだ子どものように泣きじゃくるわたしの涙は止まらない。

『…わたしの居場所は、ここしかないからね』
SR「オンニ、わたし…」
『うん』

言ってもいいのだろうか。唇をギュッと閉めると、優しい顔で首を傾げてこちらを見つめるオンニと目があった。

SR「オンニが、…居なくならないで良かった」

鼻を啜ってそう言うとオンニの瞳が揺れる。

今度はオンニが鼻を啜る音が聞こえて、オンニの瞳からは大きな粒の涙がボロボロと溢れ出す。

『わたしも…』
SR「うん」
『わたしも、戻って来られて…、良かった』

ニッとオンニは笑うから、わたしはまた勢いよくオンニに抱きついた。アイスが溶けていることに気がつくのはまだ少し先の話。