第五十三話 ページ27
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練習が終わって、ジョンハンに声を掛ける。
JH「ご飯食べに行こう」
いつもと変わらないトーンにびっくりしていたけどジョンハンは何も言わずに歩き出す。びっくりして動けずにいれば、そんな様子を見たジョシュアが背中を押す。
JS「ジョンハナ、行っちゃうよ」
『あ…！』
JS「ジョンハニも分かってるから。大丈夫。行ってらっしゃい」
『…シュアヤ、ありがとう』
グッドサインを見せて微笑むジョシュアに手を振って、慌てて後ろを追いかけた。
JH「食べに行きたい店あるからそこでいい？」
『うん』
JH「じゃあ、そうしよ」
ジョンハンが連れてきたのは焼肉屋だった。真面目に話そうと思っていたのに焼肉屋でちょっと拍子抜けはした。でも個室だからいいかと思いつつ。
運ばれてきたビールをお互いひと口、喉に流す。
『ユン、あのね』
JH「帰ってくるの？」
まだグラスを手に持ったまま、こちらに視線だけ向けてそう聞く。
『う、うん。その予定』
まだ決定していないけど、という言葉は飲み込んでおいた。
JH「うん」
『…それと、ごめん』
JH「なんで？」
『大事なことなのに、言わなくて』
JH「いいよ、聞いたじゃん。今」
怒っているのか否か、分からなくて言葉が出なくて唇を噛む。
『ごめん…』
そんな気まずさの中、お肉が運ばれてきてタイミングとは思ったもののジョンハンは何も言わずに焼き出した。
JH「あんな形で聞いたらさ。もちろん、悲しかったけど。Aの全てを知りたいからね、僕は」
『うん…』
JH「でも、シュアに怒られたんだよね」
『え？』
JH「スングァニがジョシュアに言ってたみたいで。それで、Aだっていっぱい考えて、しんどい思いしながら決断したのに、それを少し遅く聞いたからってなんだ、って」
ジョシュアがそんなことを言ってくれていたなんて当たり前だけど知らなくて、何も言えなかった。
JH「僕もごめんね。Aが帰ってきてくれて嬉しい。ありがとうって気持ちが大きいのに、それをすぐに言えなくて…、口にできなくて」
首を横に振れば、ジョンハンの手が伸びて頬に手が触れる。
JH「おかえり、Aヤ」
ジョンハンは微笑み、頬を撫でた。
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作者名：柚紀
| 作成日時：2023年11月14日 22時
