第四十九話 ページ22
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(WZ side)
ヌナの作った曲は俺たちの修正とヒップホップチームによるラップ詞が加わり、レコーディングに移るところだった。
WZ「ヌナもさ」
『え、なんだか凄く嫌な予感』
WZ「なんだよ。ただレコーディングの時、こっちに入れば?って言うだけだろ」
『こっちって、こっち?ウジPDの横に並べと?』
WZ「それ以外ある?」
『無理、絶対に無理』
そう言うヌナは結局レコーディングには参加しなかった。ヌナが考えた曲なんだから歌詞の表現とか色々あるだろうと言ったけど、キッパリ『そこはウジに任せてるから。信頼してるよ、ウジPDニム』と言うのだった。
JH「お願いしまーす」
緩い感じでブースに入ってきたのはジョンハニヒョン。
WZ「うん〜、ヒョンおはよう」
JH「なんか今日緊張してるんだよね」
WZ「なんで?いつもの感じでやればいいよ〜」
JH「うん。頑張るけど」
ジョンハニヒョンは何度このヌナのデモを聴いたのだろうか。
歌詞の意味も理解しているのだろう。だから緊張しているのだと思う。とはいえ、ヌナ自身この歌詞は自分の気持ちだとか、ジョンハニヒョンに向けた歌詞だとかひと言も言っていないんだけど。
JH「じゃあ、中入るね」
WZ「うん」
ジョンハニヒョンは殆どを少しのテイクで録り終えて満足そうにブースから出てきた。
WZ「さすが」
JH「ウジの指導のおかげですよ」
WZ「何言ってんだか…」
ジョンハニヒョンはそんな様子にケラケラと笑い声をあげる。
WZ「でも今日のジョンハニヒョンの歌い方はよかったと思う」
JH「いつもがダメって?」
WZ「そうじゃ無くて…」
JH「冗談」
ヘヘッと笑いながら、「これ作ったのAでしょ?」と聞くから頷けばジョンハニヒョンは愛おしいものを見つめるかのように微笑む。
JH「久しぶりにAの名前が1番上に来てて、嬉しいんだよね。僕も」
WZ「それは俺もそうだよ」
JH「だから…、何回も聞いてすごい練習してきた」
そんなジョンハニヒョンの発言に今度は俺がフッと笑えば、何故かジョンハニヒョンは満足げだった。
一体この歌詞を聞いて、ジョンハニヒョンはなにを考えてなにを思ったのか。それは聞く勇気がなかったけれど、ジョンハニヒョンにとってきっと大切な曲になることは間違い無いだろう。
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作者名:柚紀 | 作成日時:2023年11月14日 22時