my princesses２ (ページ21)

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シューリンにそう言われて、思い返せば確かに曲の一部だけに関与しているとは言っても、やっぱり結構悩むことが多くて。こんな風に、今みたいにサラッと曲を作れることの方が少なかったように思う。

SG「ねぇ、ヌナ」
『うん？』
SG「その曲、聞かせてよ」
『………まだダメ』
SG「えー」

わたしの後ろに並ぶパソコンの画面に並んだソレを見て、スングァンはそう言うけどバツ印を作って見せれば、拗ねたように口を尖らせた。

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次の日、アルバムの進捗状況を話し合うため、宇宙工場にやって来た。

『おはよう』
WZ「早いね」
『そう？あ、確かに。ちょっと早かったか』
WZ「ボムジュヒョン来るまで待っていようか？俺的には、ヌナの作った曲早く聴きたいんだけど」
『んー…、どうしようかな。でもあと10分はあるもんね。先に聞いてもらってもいいかな？』
WZ「もちろん」

ウジのパソコンにUSBを差し込んで、データを取り込む。“仮曲①“、タイトルはまだ決まっていない曲。『じゃあ、流すね』ウジが頷いたのを確認して、今日を再生させた。

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(WZ side)

SEVENTEENには、俺以外に作詞を担当するメンバーは何人かいる。作詞を担当、と言っても俺ほど全てを担っているのはこのヌナぐらいで、あとは俺と一緒に作ったり、ラップだけを考えてくれていたり。

そんなヌナが作る手が止まらなかったと言って作り上げた曲。期待が高くならないわけがなくて。

『じゃあ、流すね』

いつものヌナが作る曲調よりは大人っぽさを感じるような。そんな始まり方だった。

曲を再生し終わって、何も言わない俺を不思議そうにそして不安げに見つめる。

『……やっぱり無し？』
WZ「だから俺は言ったんだよ」
『え？』
WZ「ヌナの作業パソコンの中には神曲が入ってるって」

そう言って微笑んだ俺を見て、ヌナも笑顔を見せた。

『あのね！それでここのラップ詞はヒポチに…』

曲について語り出したヌナ。それを聞きながら俺は歌詞カードに目を落とした。

“誰かが僕の不幸を願っているのか“
“最近はただ自分に気付かないフリをしている“
“だけど君だけが僕の世界なんだ“
“僕はなんだって出来る君のためなら“
“疲れた時もっと君が必要なんだ“

言わなくても分かる誰かに向けたであろうその歌詞に思わず小さく笑ってしまった。