第三十七話 ページ3
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JH「お腹空かない？」
時刻は13時を過ぎたあたり。確かに小腹は空いたかなと思っていれば、「ご飯食べに行こう」とタクシーに乗り込んで連れて来られたのは、市内から少し外れた小さな韓国食堂だった。
JH「僕、キムチチゲ。Aは？」
『じゃあ、わたしはテンジャンチゲにする』
JH「んー、オッケー」
ジョンハンが注文をしてくれて、『来たことあるの？』と聞けば頷いた。
JH「ひとりでスケジュールがあった時、スタッフさんに教えてもらった。美味しかったから。…A、美味しいもの食べたいって言ってたし」
デートだから着飾ってと言って、でも敢えて高級店ではなくてこうした食堂に連れてきたあたりがジョンハンらしいなと思う。
JH「ちなみに言っとくけど、夜は予約してるところに行くから」
『あれ？考えてること分かったの？』
JH「うん。まぁ、僕が可愛いAを見たかったのもあるけど。それだけじゃせっかく可愛くしてもらったのにさ」
運ばれてきたおかずを口に含みながら、目線だけがこちらを向いた。
JH「ほら、美味しいから食べてみて」
あーんと口に運ばれてくるご飯を口に入れた。
『え、美味しい…！』
JH「でしょ？僕が美味しいと思うお店は間違いないから」
『それは一理ある』
確かに運ばれてきたご飯は全部美味しくて、ジョンハンの言う通り。
お店のお母さんはわたし達を見て「カップル？美味しく、たくさん食べていきなさいね」と言われてわたしは否定したのにジョンハンが「はい！イモ、ありがとうございます！」なんて言うから。また呆れた表情を見せるわたしを見て、ジョンハンは小さく笑う。
JH「だって今日は彼女でしょ？」
『誰が？』
JH「A」
『彼女だったら、彼氏のこと苗字で呼ばないし』
JH「うん。じゃあ、ジョンハニって呼んでよ。ユさん？」
態とらしくそう言ったジョンハンを無視して、ジョンハンのキムチチゲに手を伸ばした。
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作者名：柚紀
| 作成日時：2023年11月14日 22時
