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(MG side)
MG「無理、死にそう」
先生の「休憩」の声に足の力が抜けそうになった。今日もレッスンはとにかくハードで、死にそうになりながら水を飲むためそこまで走る。
DK「走る元気があるなら大丈夫でしょ」
WN「まだ体力残ってんなら、ミンギュだけ自主練決定だな」
MG「バカバカ!今だって足の力抜けそうだって!」
ケラケラと俺たちが笑い合っていれば、『あれ…?』とAの小さな声が聞こえた。どうしたのか、と聞きに行きたくてもそれが出来なくて、あまりにももどかしいそれに唇を噛む。
『………すみません、返してください。それ、わたしのです』
ザワザワとしていた練習室の声がピタッと止んで、みんなの視線はそこに集中する。Aの声だ。そこではクスクスと笑っていたナムジャ練習生達数名がタオルを持っていた。どう考えたって彼らには似合わない淡いピンク色。
「なんて?」
「聞こえないけど」
「誰かなんか喋った?」
Aにとってこれは日常茶飯事なのだと前に言っていたっけ。どう考えても許されない行為なのに、それを俺たちが止めることをAが許さないからいつも黙って見ているだけ。陰湿なそれにも腹が立つけど、そう言われてただ見守ることしかできないそんな自分にも腹が立つ。
『わたしの、です』
「俺、日本語分かんねぇ」
「バーカ、今頑張って韓国語喋ってんだよなぁ?何言ってるか分かんねぇけど、下手すぎて」
こんなにも一瞬で人の気分を悪くさせることができるだなんて逆な才能ではないか。先生が出ていってるのをいいことに、ケラケラと高笑いしているこの人達が先輩であることが残念であると同時に、同じ韓国人であることに申し訳なさすら感じる。
MH「
俺の隣に座っていたはずのミョンホはスッと立ち上がって、気がつけばいつの間にかAの隣に立っていた。
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作者名:柚紀 | 作成日時:2022年12月26日 11時