Who am I ? (ページ48)

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(2015年)

遂にこの時が来た。控えめなピンク色に染められた髪の毛は光に反応して輝いている。指輪をもらってから3ヶ月。

「SEVENTEEN、デビューするよ」

みんなの歓声がひとつになった。長いメンバーは事務所に入ってから練習生として6年の月日が経っていた。ずっと長いと思っていたし、練習生である時にはしんどいことだらけだった。多分みんなだってそうだと思う。

わたしも、いつかはデビュー出来るとは思っていた。だけどそれは女性アイドルグループとしての話で、まさか男の子達といっしょにグループを組むなんて予想もしていなかった話だ。

まだ耳馴染みのないステージネームを控えめに、少し緊張しながら呼び合うみんなが可愛らしい。学生時代お友達から名字から派生して“きいちゃん“というあだ名で呼ばれることは多かったのに、メンバーから呼ばれる“KEY“はなんでこんなにも照れくさいのだろう。

その日の夜。よっぽど夜遅くの練習でない限りいつもなら23時までに寝てしまうのに。今日は眠れなかった。水でも飲もうか。この宿舎では2段ベッドを3〜4人で使うのなんて日常的な光景だったし、雑魚寝が普通である。

隣で眠るメンバーを起こさないように、ゆっくりと起き上がりキッチンへ向かうと、リビングからは明かりが漏れていた。そっと覗いてみると「起こした？」と顔をあげたのはドギョム、ミンギュ、ミンハオの97ズだ。

『ううん、寝られなくて』
DK「僕らも。目が覚めちゃったよね」
MG「A、ううん。キーが寝れないなんて珍しいね」
『なんだろ？いつもならすぐ寝ちゃうのにね』
MH「それぐらい、気持ちが高まってるってことだよ」

ミンハオの言葉には誰もなにも言わなかったけど、みんな気持ちは同じようで。首は縦に動く。『そうだね』と呟けば、静かなリビングではすぐに声が消えた。

DK「A」
『うん？』
DK「僕らとデビューするって決めてくれてありがとう」

直接言葉にされたのは、この時が初めてだった。デビュー前最後のコンサート。練習生として最後のコンサートになるはずだから、と。気合を入れて臨んだコンサート。そこでファンに言われた“SEVENTEENの足枷“という言葉。気にしていないつもりだったけど、それでもふとした時に思い出してしまうのは事実だった。足枷になり得てもおかしくないメンバーなのに、それでもメンバーはこんなにも嬉しい言葉をくれるのだ。

『わたしこそ。みんなとデビューできて嬉しい』

これはわたしの心からの言葉だ。