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(2015年)
ついに迎えた卒業式。日本には行けないから、テレパシーは送るねってみんながそう言ってくれた。式典を終えて外に出ると、お兄ちゃんが立っていて、花束をくれる。いつだったか、電話越しに韓国の卒業式ではみんな花束をたくさんもらっていて羨ましいと言ったのを覚えていたらしい。花束を抱えて門を潜ると、カメラのフラッシュの光がわたしを包む。
どこで聞き付けたのか、たくさんのカメラと人が集まっていた。先生はそのカメラの軍団を追い払っていて、それを見た友達が「ホンマに有名人やってんな」なんて冗談っぽく笑った。
*
(SG side)
SG「わ!ヌナ、撮られてる」
SC「なんて?」
MG「え、すっごい可愛いじゃん!卒業式終わってこっちに戻ってくる時に制服着てきてって言ったら断られたんだよね。なんで断ったんだろ」
MH「韓国まで持ってきたら荷物になるからって言われてたじゃん」
MG「こんなの、直接見たかったのに!」
MH「そりゃ僕だって見たかったけどさ」
なんとなくスマホでネットを見ていると『SEVENTEEN・KEY、高校を卒業』というタイトルの記事を見つけた。クリックしてみると、そこには制服に身を包んだAの姿が写真に収められている。数枚上がっているその写真達はどれも素敵だ。ほら、この髪の毛を耳にかけようとしている姿なんて、少女漫画の一部を切り取ったみたい。本当に素敵、素敵なんだけど。
SC「この仕事を目指す以上仕方ないことなんだけどな」
WZ「日本って撮影禁止なところが多いんじゃなかったのか?」
VN「僕もそう聞いたことがある」
JS「まぁ、この姿を見たらカメラで収めたくなる気持ちも分かるんだけどね」
暗黙のルールみたいなもので、僕らの中で芸能学校に通っているわけでなければ、それは一般人と同じ扱いであるべきなのだけど。もちろんスンチョルの言うことも間違いではない。この仕事をする以上どこに居たって、誰か自分のことを知っている人がいる限り。どんなことをしていたってバレる。
JH「悪いことばっかり考えても仕方ないよ。僕らがやることはひとつでしょ?」
SC「それはそうだけど…」
JH「Aが学校にまで来られたことをどう思ってるかなんて分からないけど。僕らはAが帰ってきた時に、盛大にお祝いしてあげる、それだけだよ」
SC「俺、初めてジョンハニがまともに思えた…」
そう。僕たちは日本から帰ってくるAを盛大にお祝いする。「そうだね」僕がそう言えば、その場の空気が変わった。
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作者名:柚紀 | 作成日時:2022年2月12日 13時