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(2015年)
「本当に良いんだよね…？」
『一思いにお願いします…！』
あっという間に14日。「練習が終わったら、みんなでお祝いをしようね」そう言ったのはジョンハンだった。みんな、びっくりするかな。ハサミの音が耳のすぐ後ろで聞こえる。人生でまだ出会ったことのない自分の姿にワクワクしながらも、不安が入り乱れる何とも不思議な気分だった。
*
(JH side)
JH「Aは？」
JS「用事があるとは言ってたけど、どこに行ったのかは知らないな。練習じゃないの？」
SC「本気で体壊すんじゃないかってぐらい練習してるよな。あれ、練習に取り憑かれてるぞ。練習オバケだよ」
今日はAの誕生日で、同時にバレンタインデーでもある。ここ数日、宿舎には甘い甘い、とにかく甘い香りが充満していて、キッチンを覗けばAがバレンタインデーの準備をしていた。
誰にあげるのか聞くと、お世話になっているスタッフさんを始め、『もちろんオッパにもあるよ』なんて微笑む姿がかわいい。ただ14日はAの誕生日でもあるから、「あげるより貰う側なのにね」と言うと『確かに！』と笑っていた。
それに今年は家族と離れて迎えた誕生日。俺自身あまり自分の誕生日に執着したことがなかった。だって、家族に祝ってもらえるのが普通だったから。当たり前だと思っていたけれど、直接祝ってもらえない状況は悲しいことだと今更ながら気付いて。だからこそAの誕生日は盛大に祝ってあげたかったのに。そんな主役が不在だなんて、どこに行ったんだろう。
『ただいま』
JH「おかえ………、誰？」
宿舎に入ってくる1人の影。声はAだし、顔だってAだった。でも、綺麗な黒髪のロングヘアだった姿はどこにも無く、あの綺麗な髪の毛は顎上のショートボブになっていた。スンチョルとジスも開いた口が塞がらないといったところで、スンチョルに関しては食べていたお菓子の袋を床に落とす始末。
『やっぱり、変だった！？わたしも美容室の鏡でおかしいんじゃないかなって何回も見返しちゃって…、こんなに短いのなんて人生で初めてだから。やっぱり切らない方がよかったかな…？』
JS「い、いや！すごく可愛い！可愛すぎて声が出なかったよ」
SC「うん。似合うよ」
『そう？なら、良かった』
なぜ切ったのか、理由は分かるような気がする。すっかり短くなった髪に手を伸ばす。
JH「ごめんね」
『なんでオッパが謝るの？』
JH「ううん。すごく似合ってるよ」
『ありがとうございます！』
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作者名：柚紀
| 作成日時：2022年2月12日 13時
