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任命式後、わたしだけスタッフさんに呼び出された。デビューに関連することであることは分かっていた。『アニョハセヨ』会議室を開けると既にスタッフさんが先に座って待っていた。

「急に呼び出してごめんね。まず座って」

ちょうど目の前の席に腰を下ろす。「早速本題に入るよ」気持ちの整理もできないまま、本題に入るらしい。小さく息を吐いて『はい』返事を返す。

「さっき、デビューの話をしたよね」
『はい』
「それについてなんだけど」

頭の中でいろんな想像が広がる。実は呼び出されたのが間違いだったのではないか、とか、この短時間でもう一度スタッフさん達で考えたけどやっぱりAだけはデビューが無しになったとか、指輪を返さなきゃいけない?とか。悪いことばかりが浮かんでくる。

「髪の毛、切ってもらおうかなって」
『え!?』
「事務所的にはね、長髪のイメージはジョンハニに担ってもらおうと思ってるんだ。今だって髪の毛伸ばしてもらってるでしょ?」

何だ、そんなことだったのか。もともと練習生の間、髪型から髪色まで全部事務所が管理していて、自由に髪を染めることはもちろん、切ることもダメだと言われていた。特にジョンハンは切ることを一切許されていなかったから、今ではわたしと変わらないぐらい長くなっていた。

勿論わたしも切ることも染めることも許されておらず(そもそも髪色は学校がダメだったけど)、そろそろ長さが邪魔になってきていたから肩に付かないぐらいには切りたいとは思っていた。

『どれぐらいの長さですか?』
「Aはショートか、ボブか。それぐらいの長さにしてもらおうと思って」

予想よりも短い。そしてわたしは生まれてこの方、そこまで短くしたこともないし、正直似合うのかどうかすら不安だった。しかしここでNOという選択肢は無い。スタッフさんだって、答えは分かって聞いているのだ。

「分かりました」
『次の14日に切ってもらおうと思ってるからそのつもりで』

せめて卒業式まで待ってほしい、なんて喉に出掛かった言葉は飲み込んだ。よりにもよって自分の誕生日。アイドルは髪の毛も大事にしなきゃ、とメイクを担当してくれているお姉さん達から言われたのを思い出す。名残惜しいけど、仕方ない。覚悟を決めて、ひとつに結っていた髪を結い直した。

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設定タグ:SEVENTEEN , 紅一点 , ドギョム   
作品ジャンル:タレント
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作者名:柚紀 | 作成日時:2022年2月12日 13時

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