Who am I ? (ページ17)

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『わたしは、日本人です』

最初は早口すぎたのか聞き取れなかったようで首を傾げていたので、もう一度ゆっくりそう伝えると納得したのか、「あぁ！」と頷く。「僕は、中国人です」今度はわたしが納得する番。彼がまだ慣れていなさそうに韓国語を喋る理由が分かった気がする。

『まだこっちに来たばかりですか？』
MH「はい。まだ、1年？…だから、韓国語が、よく分かりません」

頭の中で覚えたての韓国語を思い出しているのだろう。考えるようにゆっくりと言葉を繋げていく様子が可愛らしい。気持ちは分かる。わたしも最初の頃は苦労した。だって日本語と似てる言葉はあっても、パッチムの発音だとか、同じ発音の子音だとか、未だに迷うことが多い。

『ミョンホさん、何歳ですか？』
MH「えっと…」
『あ！えーっと…、何年生まれ？』
MH「97年」
『えっ！？何月生まれ？』
MH「11月」
『わたし、97年の2月！』

ごめんね、ミョンホ君。絶対年下だと思ってた。いや、実際日本だとひとつ歳下だから、年下になるわけだけど。同い年だと分かったからか、堅かった表情が心なしか明るくなった気がした。「Aさん、よろしくお願いします」と笑顔を見せる。

『こちらこそ。Aでいいよ。呼びにくかったら、学校ではきいちゃんって呼ばれてるから、きいでもいいよ』

そう言うとミョンホ君は首を大きく振って「頑張って、Aって、言えるように、なるから、Aって、呼ぶ！」とまたゆっくりと伝えてくれた。

『ありがとう。じゃあ、わたしはミョンホでも良い？』
MH「Aが困らないなら、僕の本名は“明浩“なんだ。だからそう呼んでほしい」
『明浩…？』
MH「うん！」

“ミンハオ“と呼ぶとさらに明るくなる表情が面白くて、可愛くて。わたしたちはスタッフさんが呼びに来るまで何度もお互いの名前を呼び合っていた。