九 ページ10
『ならいい』
「何処へ…行くつもりだ…」
青年は細い声でそう聞いた
『自分で探しにいく』
「待て…主に会わすわけには…」
『うざい。』
皐月はそれだけを告げて青年を背に
歩きだした。
「皐月、俺もいこう」
そう言い出したのはクロだった
シロにそいつを頼むと一言置いて
皐月をおっていった。
「てことは…俺とあんたは一騎討ちだな……と言いたいところなんだがあいにくあんた怪我してるし戦いたくないんだよな〜」
シロは
刀を鞘に戻した
「……なぜ刀をしまう」
青年は鋭い視線でそう聞いてきた
「俺は怪我してるやつと戦うのが好きじゃなくてな。あんたとも戦いたくないんだ」
「なら……俺があんたを切ってもいいんだな……」
そう言うと青年は
シロに向かって刃を向け
切りかかろうとした
「おっと、動くな青年」
「……は…？」
シロの言葉に足を止めたとき
青年の横を短刀が通りすぎた。
「……！！」
『悪いな…そいつに手を出されると困るんだよ、あと、お前死ぬかもしれねぇぞ。』
短刀を投げたのは 皐月 だった。
「…あんたが…投げたのか…？ それに……死ぬってなんだ……？」
青年は戸惑いを隠せないほど混乱していた
『刀の事はわからんがお前、そのまま戦ったら多分死ぬ』
「どうゆうことだ？」
『革が言ってた話を思い出した。刀剣は刀が傷つけば体も傷つくらしい。それが酷いと刀が折れるんだってよ。』
皐月は真顔で長々と言葉を並べた
「皐月が急に戻ると言ってな」
クロはそう言った
「……俺が折れる……」
『…ついてきて、手当てするから』
そう言うと皐月は
短刀を鞘に戻して歩きだした
「…手当てだ…？ あんたがか… 」
『主と同じ人間じゃ、不安か』
そう言って皐月はにやけた
そのまま 中へと進んでいった
「安心しろ、皐月は敵じゃない。」
「むしろ俺らがあいつの敵になるかもな」
クロとシロは歩く皐月を
寂しそうな目で見つめてそう言った。
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作者名：ぱすてる | 作成日時：2017年10月8日 14時
