35 ページ35
.
「あの、キッチン使っても良ければ……私作りましょうか？」
冷蔵庫から卵を取りだした常連さんが、コンロと格闘。
見かねた私は代わりに作る事を申し出た。
.
迷惑かけた申し訳なさからキッチンに立つ。
「……あの、常連さ……スンチョル、さん……？」
「うん？」
「そんなに見られてると、その……少しやりにくいんですけど……」
「うん」
手持ち無沙汰になった常連さんが、頬杖をついてカウンター越しに手元を覗き込んでくる。
非常に、やりにくい。
「……その、座っててくれませんか？」
「んー、やだ」
「えっ」
いつもの微笑みと違い、にっこり笑う常連さんと目が合う。
「見てたいんだけど、ダメ？」
「え、あ、いや……」
やりにくいからやめて、と言いたい気持ちを抑えた時
ふと視界に入った。
髪の毛跳ねてる……寝癖かな。
ちょっとだけ、ほんとにちょっとだけ、子供みたいで可愛いと思って笑ってしまった。
「ダメ？」
「……ふふ」
「うん？ なんで笑ってるの？」
「あ、いえ……なんでもないです！」
「えぇ？ そう言ってもまだ笑ってるじゃん。 ……何で？ 何で笑ってるの？ ん？」
「あっ、いや、その」
「うん？」
覗き込むように、段々と近付く常連さん。
そんな常連さんに、たじたじになる。
「あ、その……」
「姉ちゃん焦げるよー」
「えっ、あ……！」
常連さんの後ろに起き上がったスニョンが見えた。
「ったくもーさっきから見てれば、俺がいるって言うのに二人でイチャついて……。 これでまだ付き合ってないってどうかしてるよ。 先輩トイレ貸してー」
……一言、爆弾投下した本人はトイレへと消えた。
「あっ、その……出来ました、けど……」
「うん、ありがと」
やっと離れたと思ったら、今度はキッチン内に向かってくる常連さんに少し緊張する。
「お皿これでいいかな」
「え、あっ、はい、それで……」
.
「やークォンスニョン。 ……話聞かせてもらうわよ」
「家ついたんだから少しは休ませてよ姉ちゃん、俺頭痛いんだよ……」
「ただの二日酔いでしょ。 そもそもあんたがあんなに飲まなければスンチョルさんの家に行くこともなかったんだから」
「あー頭いてー……」
「で、家に連れ込んで後悔したって何。 どういう事？ いつ話したの？そんな話」
「ん……姉ちゃんがやらかしたって帰ってきた日？ 先輩に昼飯誘われたって言ったじゃん」
.
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1621人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
tyai - 本当にいつも素敵なお話をありがとうございました！ずっとだいすきです💓 (2023年4月2日 14時) (
レス) id: 4eebb26101 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とにかく大好きで何回も読み直してます… すんちsideの話はもちろんですが、じすはんに冷やかされて嫉妬して拗ねる話がみたいです笑 (2023年3月30日 14時) (レス) id: 7eba4932cc (このIDを非表示/違反報告)
yuikuma965(プロフ) - すごくキュンキュンしました！私もこんなふうに追いかけられたい…笑短編集、嫉妬とかみてみたいです(´∀｀) (2023年3月30日 2時) (レス) @page46 id: 1a04ea6328 (このIDを非表示/違反報告)
くす(プロフ) - お疲れ様でした(>_<)続編も楽しみすぎて、夜も寝られません、、、ご無理のない程度に更新楽しみにしてます！！！！ (2023年3月30日 0時) (レス) @page46 id: 1558d9da93 (このIDを非表示/違反報告)
diva05(プロフ) - このお話すごい好きです！恋人になった後の2人の関係性や、そうなってからの夜のお話も見てみたいです。 (2023年3月29日 19時) (レス) @page46 id: d2c25335f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：MIE | 作成日時：2023年3月13日 1時
