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どうしてこうなるのか。
開いた部屋から現れたのは、横顔だけで分かるほど見覚えのある人物。
上下スウェットを着て、頭に掛けたタオルで気だるげに髪を拭いてた。
「嘘……」
その声に気が付いたのか、こちらを振り向いた彼と目が合う。
「あ、起きた? おはよ……なんで玄関?」
「あ、いや、その……、失礼しました」
恥ずかしさと呆れに、驚きが加わって感情がごちゃごちゃ。
まさかの人物に、驚きのあまり靴を手に取り逃げるように部屋を出る。
「なんで常連さんが……いやなんで常連さんとっ、もう……! 私のバカ……!」
手に持った靴を履く考えも無く、ひたすら走ってその場を後にする。
後ろからドアの開く音と "待って" と叫ぶ常連さんの声が聞こえた。
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どれ程走ったか覚えてない。
常連さんの家からの帰り道も分からず、ひたすら遠くに行こうと走ってたら奇跡的に見覚えのある道が出てきて、最寄り駅に着いた。
「家に帰れる……良かった……」
駅を見て安心して一息ついたところで、ずっと手に持ってた靴の存在に気付いた。
「……履かないと」
混乱する頭もようやく落ち着いてきて、家まで向かい歩きながらひたすらに考えた。
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旅行に行くと言っていた日に朝帰り。
ほんとに、何やってんだか私。
「……ただいま」
「姉ちゃん?おかえり。 ……どうした?顔色悪くない?」
「いや、大丈夫。 色々考えてただけ……部屋で休むわ……」
「おう? ゆっくりしろー、せっかくの休みなんだし」
朝帰りについて触れないでくれる、その優しさが身に染みる。
「はぁ……シャワー浴びよう……」
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店長が追い払ったのは本当のジェソクで、一人で飲んでた時に来たのは常連さん……?
「……私、あの時なんて言った?」
"あんたが浮気するのが原因"
"私の他に二人も付き合って"
"明日の旅行も私がどれだけ楽しみにしてたか"
"楽しかった思い出もまだ忘れられない"
"記念日旅行も行きたかった"
"付き合って三年目になるのに"
"大好きだよジェソク"
「あー終わった……」
徐々に思い出して来た記憶は、どれもこれも消したいものばかり。
「……そもそもジェソクなんてもう吹っ切れてるのに、何をあんなに未練がましく! ……はぁ……終わった……」
ふと思い出した。
『……俺も好きだよ、すごく』
この言葉は、ジェソクが言った言葉?
それとも……
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tyai - 本当にいつも素敵なお話をありがとうございました!ずっとだいすきです💓 (2023年4月2日 14時) (レス) id: 4eebb26101 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とにかく大好きで何回も読み直してます… すんちsideの話はもちろんですが、じすはんに冷やかされて嫉妬して拗ねる話がみたいです笑 (2023年3月30日 14時) (レス) id: 7eba4932cc (このIDを非表示/違反報告)
yuikuma965(プロフ) - すごくキュンキュンしました!私もこんなふうに追いかけられたい…笑短編集、嫉妬とかみてみたいです(´∀`) (2023年3月30日 2時) (レス) @page46 id: 1a04ea6328 (このIDを非表示/違反報告)
くす(プロフ) - お疲れ様でした(>_<)続編も楽しみすぎて、夜も寝られません、、、ご無理のない程度に更新楽しみにしてます!!!! (2023年3月30日 0時) (レス) @page46 id: 1558d9da93 (このIDを非表示/違反報告)
diva05(プロフ) - このお話すごい好きです!恋人になった後の2人の関係性や、そうなってからの夜のお話も見てみたいです。 (2023年3月29日 19時) (レス) @page46 id: d2c25335f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:MIE | 作成日時:2023年3月13日 1時