52輪 ページ2
というわけでディアソムニア寮に連れてこられた私。
ただただディアソムニアの無骨、いや、伝統ある階段をひたすらに登っていく。
「シルバーはな、ワシが鍛えたんじゃ！！もちろんセベクもじゃ！！！あいつらは本当に可愛い奴らでのぅ、まさに目に入れても痛くないほどじゃ！！！マレウスとはまた違った可愛さじゃの〜」
さっきからシルバー、そしてセベクくんの話さしないなこの人...
「あの〜そろそろ説明を...」
なぜ私は今階段を登る苦行を強いられているのか。
くるっっと振り返ると弾ける笑顔でリリアさんは
「おお！そうであったな！！！今からお主には『修行』をしてもらう！！！」
と。は？
ニコニコと可愛らしい顔をしてこの人は、修行...？
「あの...私は兵士じゃないんですけど...」
「まぁ心配するな！お前はこの部屋で針を紡ぐだけだ！！ほれ！！！」
そう言うとやっと着いたディアソムニア寮最上階、
私は大きな糸車のある部屋に通された。
禍々しい妖気を放ったその糸車は私の身長ほどはあるだろうか。
針が鋭く光っているものの、木製のそれは長い間誰も使っていないようだった。
「これは...」
糸車のほかには大きなカーテン付きのベッドが置いてあった。
「あのっこのベッド...」 「では！また少し後で会おう！！ワシは準備をしておく！！」
そう言い残すと何も説明しないままリリアさんは部屋から出て行った。
本当に何も説明されてない...なんの準備よ、全く...
とりあえず糸車でも触ってみるか〜
［チクっ］
刹那。私は意図に触れようとして針に触ってしまったようだった。
痛みを感じた瞬間に強い眠気を感じた。
感じた？
あれ...眠い...？
あれ...この感覚......どこかで............
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作者名：kum | 作成日時：2021年3月7日 20時
