年下のくせに。 (ページ4)

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由佳「ねえ、1年生の" じゅったん "知ってる？ " 爆モテじゅったん "。」

ある日のお昼。自販機に向かう途中で由佳がそんなことを聞いてきた。

『なにそのファンタジー溢れてるあだ名。知らない。』

由佳「入学2日で女の子とっかえひっかえしてるらしいよ。」

『え？そんな物騒な高校じゃないよね、ここって。』

由佳「イケメンらしいよ～。気になる～。」

面食いの由佳はインスタでさっそく" じゅったん "とやらのアカウントを探してる。

女の子とっかえひっかえって。漫画でしか聞いたことないんですけど。

由佳「 …あ、噂をすれば。」

と声を漏らした由佳の視線を追うと、自販機に群がる男子4人組とそれに群がる女子たち。

…アイドルか何かなの？

『で、その" 爆モテじゅったん "とやらはどれ？』

由佳「たしかね～、田中樹っていう名前で、あのピンク髪の…、」

そういうと男子4人組の中の一人と目が合った。

田中「 ……あ！！あの時の！！」

始業式の日見た、ふはっと柔らかい笑顔。

端正な顔立ち。鮮やかなピンク髪。あの日よりさらに着崩された制服。

たしかに、

『 …" 爆モテじゅったん "だね、あれは。』

由佳「なに、知り合いだったの？こっち走ってきてるけど。」

柔らかそうなピンク髪を揺らしながら私の目の前に来た" 爆モテじゅったん "。

田中「名前聞いてなかったっすよね。俺、田中樹って言います。」

「先輩は？」なんて首をかしげて聞いてくる。…こいつ、策士だな絶対。

『 …佐藤です。』

田中「下の名前聞きたいんだけど、俺。」

『え、やだよ。』

田中「え！？なんで！？」

と、うるさいくらい騒ぎ出す田中樹。

後ろに残された3人の男の子たちと女の子たちからの視線。痛すぎ。

名前なんて教えたら絡まれ…、

由佳「 Aって言うよ～、この子。」

『ねえ、由佳？』

私の隣でケラケラ笑ってる由佳。あれ、私ら友達だよね？