心配性5 ページ6
なんてことない日常……のはずだった
進路希望を取る時に僕もかっちゃんと同じ
雄英高校に行くことをクラス中に知られた
お前は無個性なのに、とみんなに笑われた
悔しかったけど無個性の僕は何も
言い返すことができなかった
そして授業も終わり帰ろうとした時だった
「話まだ済んでねーぞデク」
いつの間にか目の前にかっちゃんがいた
「………！！」
そのままノートを取られ
黒く焼け焦げたノートは窓の外に放り出された
思わず「ひどい…！」と声に出して呟いた
「…つーわけで一応さ
雄英受けるなナードくん」
ポンと肩に置かれた手が僕に異常に重く
のしかかった
それに対して僕はやっぱり
何も言い返すことができなかった
「そんなにヒーローに就きてんなら
効率良い方法あるぜ」
「来世は個性が宿ると信じて…
屋上からのワンチャンダイ…ブ…、っ！！」
急に言葉を詰まらせたかっちゃんに
僕は不思議に思い振り向いた
その瞬間パチン、と鋭い音が教室に響いた。
「最っ低。」
一瞬のことで理解ができなかった、が
そこには赤くなった左頬を押さえて
驚いた顔で立ち尽くしているかっちゃん
その目の前にはAちゃんが
悲しそうに、そして怒った顔で立っていた、
いつものように訓練のために
かっちゃんを迎えに教室まで来た
Aちゃんが、かっちゃんを
平手打ちしたんだ。
そのままかっちゃんには目もくれず
行こう、出久。と僕は手を引かれ教室を出た
手は握ったままスタスタと僕の前を歩く
Aちゃんの後ろ姿を見て思った
「(普段からあの温厚なAちゃんが
こんなに怒ったのを見たのは初めてだ)」
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作者名：みりん | 作成日時：2019年4月10日 22時
