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side黄
「・・・ごめん」
「あ、いや・・・」
「ご飯、できたら呼んで」
そう言ってキッチンから出ていこうとするから、その背中に待ってと投げかける。
振り向かず立ち止まっただけのジェシー。
大きいはずの背中が少し小さくなったように見えた。
コンロの火を止め、徐に話しかける。
「ごめん、突き飛ばすようなこと・・・」
「・・・」
「そのままで、聞いて?・・・突然だったからびっくりしただけで、俺、その・・・嬉しかった」
「っ・・・」
「さっきだって、俺のご飯が食べたいってすげぇ嬉しそうに言うから、ジェシーも俺と同じ気持ちだったらいいなって」
「・・・俺も、同じこと思ってたよ」
その場で爪先をこっちに向けたジェシーと、遂に目が合った。
フライパンの方を指差して更に続ける。
「それ、チーズ入ってるパスタでしょ。材料買ってるの見たときからそんな気がしてた」
「・・・」
「態々チーズなんて、俺の好物だから?俺のために?って思ったらこーちもそうなんじゃないかって、勝手に確信したんだ」
「・・・ジェシー、俺・・・」
「待って。俺から、言わせて」
目は合わせられたまま少しずつジェシーが近づいてくる。
まるで金縛りにあったかのように、緊張して動かない身体。肩にそっと手が置かれた。
願っていたその時が来ると思ったら吐く息に少し熱が籠る。
「こーち。ずっとずっと好きだった。・・・俺と付き合ってください」
「っ・・・はい」
「・・・hehe、よかった」
緊張が解れたのか、小さくだけど漸く笑ったジェシーは優しく俺を抱き寄せた。
俺も背中に回した手で服をキュッと握った。
後頭部を撫でられる手が、気持ちいい。
「ジェシー・・・俺も好き」
「ふふ、嬉しい」
「・・・あ、待って、パスタ! 茹で終わってるの忘れてた」
焦ってコンロに向き直ろうと身体を離したら軽く手を引かれ、またジェシーの腕の中に閉じ込められる。
「1回だけ。今度はちゃんとキスしたい」
「っ・・・うん」
「・・・っ」
両頬を包まれてそっと、でも確かに唇が重なった。
・・・ずっとこのままでいられたらいいのに。
そう思ったのも束の間、離れていくと照れ臭そうに笑ったジェシーが早く作ってくれと俺を急かすから、麺もソースも温め直して最後にたっぷりのチーズを絡めて何とか完成させる。
上出来とは言えないけど、恋人となった人と食べるご飯は今までで一番美味しくて、幸せだった。
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彩佑実(プロフ) - じゅったん狂さん» こんにちは。お待たせしました。先ほどアップさせて頂きました。よろしくお願いします。💙🖤また書きますね☺️ リクエストありがとうございました! (2022年1月21日 19時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
じゅったん狂 - 彩佑実さん» ありがとうございます😭 明後日楽しみに待ってますっ!! これからもほくじゅりかいてほしいなぁとか思っちゃったり(((殴 投稿頑張ってくださいねっ! (2022年1月19日 20時) (レス) id: ac82afbd90 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - じゅったん狂さん» 愛読、コメントありがとうございます! リクエストも嬉しいです☺️ リアル設定でしたら他の方から既に頂いているCPなので、明後日アップする予定で準備しています。それでも宜しければ、明後日までお待ち頂けると幸いです。よろしくお願いします😌 (2022年1月19日 9時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
じゅったん狂 - 初コメ失礼します!!主様の作品とても大好きです❤︎ 私自身ほくじゅり狂なので🖤×💙くんのお話書いてもらうことはできますか、、、?主様の都合に合わせてできればでいいので!!!!これからもお話楽しく拝見させていただきます! (2022年1月19日 7時) (レス) id: ac82afbd90 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - popti0409さん» こんにちは。お待たせしました。本日アップさせて頂きました! よろしくお願いします☺️ (2022年1月18日 19時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩佑実 | 作成日時:2022年1月10日 21時