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side赤
「ジェシー」
「ん、なに、？」
「お前･･･もしかして、Sub？」
「っ、何言ってんの。違ぇよ。俺はNormalだよ。樹も知ってるでしょ」
「ほんとか？」
「そうだよ」
樹は俺に確かめるみたいに優しく聞いてくるけど、嘘なんかついてない。･･･そう思いたいんだ。
でも勘のいい樹のことだから、俺が自分自身を認めたくなくてそういう態度をとっているってことはすぐに見透かされそうで、その視線から逃げるように俯いた。
「そっか。でもごめんな。･･･ジェシー、
「っ、」
Domの樹がCommandを発したその時、首が勝手に再び上がって樹の瞳とかち合った。
抗うことなんか、できなかった。
「やっぱり。ごめん、こんなことして」
「待って樹、違う、！」
「違くねぇってお前も気づいてんだろ？」
「っ･･･」
「稀にいるらしいよ。何の前触れもなく突然性が変わる人」
樹にそう言われて、初めてちゃんと自分の身に起きたことを理解した。
Normalだったはずの俺の第二の性は、いつからかはわからないけどある日突然Subへと変わってしまったらしい。
そんなの信じたくない。
でも、初めて自分に向けられたCommandを聞いて反応してしまった自分を振り返れば、それが事実だと言わざるを得なかった。
「･･･じゅり」
「なに？」
「お願い･･･誰にも、言わないで･･･」
「ん、わかった」
少なくとも、自分で自分を受け入れられる日が来るまでは、まだ知られたくない。怖い。
俺のその気持ちを汲んでくれた樹は、俺口堅いから安心しろなんて言って優しく笑ってくれた。
すると頭を撫でられて、黙って引き寄せられて抱き締められる。
「え、樹、？」
「さっき大丈夫だった？
「っ･･･樹は何でもわかっちゃうんだね」
「何年一緒にいると思ってんだよ」
「･･･俺が言われたわけじゃないのに、ちょっとキツかった」
「ん、素直でよろしい。
「っ･･･」
"Good boy"って、こんなにも安心する言葉なんだって初めて知った。
樹が背中を撫でてくれているおかげもあって、だんだん心が落ち着いていく。
少し経ってもう大丈夫と体を離すと、樹は俺の肩を軽く叩く。
「なんかあったら、俺のこと頼っていいから。遠慮すんなよ？」
「うん。ありがとう、樹」
「いいって。ほら、戻るぞ。俺ら怒られっかな？(笑)」
「Haha、やべぇ」
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作者名：彩佑実 | 作成日時：2023年6月4日 19時
