Ep.156「安らぎを教えて」青×赤 ページ4
リアル、Dom/Subユニバース、オリジナル設定あり
・
side赤
YouTube撮影のために集まった、ある日の楽屋。
俺はいつものようにふざけたり皆と話したりしていた。
ありがたいことに個人仕事も多いから、6人でいると無限に口が止まらなくてずっと楽しいんだよね。
途中で俺の隣にいた北斗がトイレに席を立って戻ってくると、今度は慎太郎が彼を自分の隣をポンポンと叩いて、
「北斗、
と呼んだ。
別にいつも聞いているやり取りだし、相変わらずラブラブだなって今日も思うだけのはずだった。
それなのに、･･･その瞬間、ほんの少しだけ、俺の身体が無意識にピクリと震えた。
自分でもわけがわからなくて、思わず対面にいたこーちを見つめてみたけどただ目が合って微笑まれただけ。
･･･今のはなんだったんだ。
Normalであるはずの俺は、初めて覚える感覚だった。
まさか、慎太郎が北斗に出したCommandに俺も少し反応してしまったとか･･･？
いや、そんなわけない。だって俺はNormal。DomでもSubでもないんだから。
でもそれじゃあ今の震えは･･･
「･･･シー。ジェシー」
「あ、え？ なに？」
「そんなしかめっ面して、どした？」
「え、俺、そんな顔してた？」
「してたよ。具合悪ぃ？」
「いや、全然。大丈夫」
「そ？ ならいいけど」
「うん。ありがと、樹」
一人で悶々としていると、隣の樹にはそんな心配をされて。
俺の勘違い。それか、冷房の効きすぎでたまたまCommandを聞いたタイミングで身体がブルッと震えただけ。
そう思うことにした。
・
でも、また別の日。
今度は樹との某レギュラー番組の収録の現場での、休憩中の時のことだった。
共演者の方々と談笑していると、裏の方から突如聞こえてきた怒声。
そこにいたほぼ全員が何があったと心配になって見に行くと、どうやら新人ADがミスをしたようで先輩ADに怒られているところだった。
ディレクターさんが間を取り持ったことでその場は何とか鎮まったけど。
･･･また、俺の身が小刻みに震えて止まらない。今度は心拍数や呼吸も上がっている感じまでしてきて。
「え、ちょ、ジェシー。お前大丈夫？」
「わかっ、ない･･･」
「まだ時間あるよな･･･ちょっと出るぞ」
そんな俺にまたしても声をかけてくれた樹に、スタジオから連れられて一番近くのトイレに入った。
すると、樹が少しひそめた声で俺を呼んだ。
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作者名：彩佑実 | 作成日時：2023年6月4日 19時
