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side青
それから数日。
応援してる、なんて慎太郎から一丁前に言われたところで、もう会う機会がなくなってしまった今、どうすればいいって話だ。
「･･･あー、くそっ」
「なになに、どうしたの、樹」
「っ、何でもねぇよ」
「そんな風には見えないけど？」
講義と講義の合間、周りに聞こえるか聞こえないかくらいだったと思うけど無意識に出てしまった声に食いついてきたジェシー。
なんかニヤけてるのがちょっとムカつく。
「もしかして、コイワズライってやつ？」
「はぁ？」
「Hehe、勘で言ってみたけど当たるもんだね」
「何も言ってねぇし」
「見てりゃわかるよ。何年一緒だと思ってんの」
「･･･」
「ふふ。で、相手どんな人？ 俺の知ってる人？」
「言わない」
「えーケチ！」
「っハッ、もうお前うるさいよ」
ジェシーからの質問攻めには、途中で鳴った講義開始のチャイムのおかげで何とか何も話さずに乗り切れた。
でも、その日の帰り道。
「樹の好きな人当ててあげよっか」
忘れた頃に、ってやつで、一度気になったら全部聞くまで気が済まないらしい。
勘弁してくれ。
「っ、何だよ急に。つかジェシーは会ったことないから絶対当たんないよ」
「えー、じゃあ教えてよ」
「･･･先生」
「え？ 先生？」
「慎太郎の担任。この前三者面談で会って、それで」
「ふーん、なるほどね。相手は教師で、弟の担任だからどうしたらいいかわかんないんだ」
「っ、まぁ･･･」
「ねぇ、樹。もうすぐ14日だね」
「え？」
「ほら、有名なイベントの日でしょ？ 渡しちゃいなよ、チョコ」
「･･･」
2月14日。バレンタイン、か。
貰ったことしかないし作れないけど、それもアリかも。
なんて、しっかりジェシーのアドバイスを聞き入れてしまう俺は、相当本気みたいだ。
「･･･慎太郎」
「なにー？」
「松村先生って甘い物好き？」
その夜、わざわざ慎太郎の部屋に行ってそんなことまで聞いてしまうほどに。
「えー、知らないよ。辛いの好きなのは知ってるけど」
「そっか。サンキュー」
「もしかしてバレンタイン？」
「っ、そーだよ」
「ハハッ、もう違うって言わないんだね。いいじゃん！ 頑張れ樹〜」
無駄に勘がいいのが鼻につくけど、あと2週間あるし、頑張ってみよう、かな。
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作者名：彩佑実 | 作成日時：2023年6月4日 19時
