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side桃
5年前から、ずっと･･･。
全然気が付かなかった。
「ずっと言わないつもりでした。今の関係が壊れちゃうくらいだったらって思って。･･･でも今、京本さんの優しさと温かさを知ったら我慢できなくなっちゃいました」
「･･･」
「好きです、ほんとに」
初めて知る上に何度も伝えられたジェシーの想いを、言われた言葉を心の中で反復しながら受け止めてみる。
少しずつ、自分にとってのジェシーってなんだろうとそんなことを考えていくと、さっきのラーメン屋での自分の感情を思い出した。
ジェシーのあれこれを知っている慎太郎くんに、たぶん俺は嫉妬したんだ、と。
そして、嫉妬をしたということはつまり、
「･･･俺も、好きだと思う」
「えっ？」
「いや･･･いつからとかは正直わかんないけど、俺も、ジェシーが好き」
「っ、京本さん･･･」
こんな真っ直ぐに気持ちを伝えたことなんてないから顔に熱が集まっている感じはするけど、言い終わった時には無意識に自分の腕をジェシーの背中に回していた。
すると、少し強まる腕の力。
この1年ほどで筋肉をつけて大きくなったという身体は、凄く安心感があるなと思った。
少しの間抱き合って、ゆっくり身体を離すとその優しい瞳が俺を見つめる。
「京本さん。俺と付き合ってください」
「･･･よろしく、お願いします」
「･･･ふふ、可愛い」
「え、か、可愛い？」
「はい、可愛いです。ずっと言いたくて我慢してたけど、これからはいつでも言っていいんですよね」
「いや言っていいっていうか･･･まぁいいや、いいよ」
「Hehe、やった。･･･あ、でも、さっき俺のこと抱き締めてくれた時は、かっこいいなって惚れ直しましたけどね」
「っ、何だよそれ」
「ふふ」
「んはっ」
･･･なんか、甘い。
いつものジェシーとはまるで違う。
またふいに見つめ合うと彼の右手が伸びてきて俺の頬を撫でるから、思わず身を強ばらせてしまうけど、決して嫌ではなくてそのまま受け入れる。
「･･･大我、って呼んでもいい？」
「･･･いちいち聞くなよ。今は先輩後輩じゃないんだから」
「っ、そっか。･･･大我。好きだよ」
「ん、俺も」
ジェシーは照れ臭そうに可愛く笑う。
「じゃあ、俺もシャワー入ってくるけど、帰らないでね？ ･･･もうちょっと、一緒にいたい」
「っ、うん。待ってる」
そうして離れていく背中に、思わず笑みが零れた。
Fin.
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作者名：彩佑実 | 作成日時：2023年6月4日 19時
