すとすと[短編集]

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side青



その日、ラジオの生放送を終え真っ直ぐ家に帰ってリビングの電気を点ける。

するとソファに何やらデッカイ塊が横たわっていた。



「うわあ！！」

「ん、眩し･･･あ、樹おかえり」

「びっっっくりした。心臓止まるかと思った」

「ふふ、サプライズ大成功〜」

「せめて電気くらい点けろよ」

「この方がよりサプライズ感増すでしょ？ でもおかげでラジオ聴きながら寝ちゃってた(笑)」



いつもうちに来るときは必ず連絡してくれていた。

何なら昨日だってそうだった。

だから初めてのことに戸惑いを隠せない。

大我が起き上がったことで空いた隣に向かい合うようにして腰掛け、大我の膝の上に手を置いた。



「来てくれたのはすげえ嬉しいけど、らしくないじゃん。どした？」

「別に。でも今日は、あ、日付変わったから昨日か、記念日じゃん？」

「え、なんの」

「うーん、メンバーに認識された記念？」

「何だそれ？ つーかとっくにバレてたみたいだけど(笑)」

「そうだけど！(笑) とにかく、記念日だから」

「だから？」

「だから、その･･･」



さっきまでの笑顔は何処へやら、段々声も小さくなって耳まで真っ赤にしちゃっている。

左手はいつの間にか俺のTシャツの裾をキュッと握っているし。

ダメだ、可愛すぎる。

いつもなら最後まで言うのを待ってあげるけど、今日は俺の理性がそうさせてくれないみたいだ。



後頭部に手を回して激しく口付ける。

大我は両手を俺の背中に回してしがみつくようにしながら俺のキスに必死についてくる。

途中大我の口から漏れ出る声が更なる興奮を誘うから何度も角度を変えて貪っていると苦しくなったのか、背中を叩かれて唇を離す。

肩で必死に呼吸をしながら、既に蕩けた顔で見つめてくる大我。



「誘ったの、そっちだからな」

「うん、そのつもりで、来たから」

「っ･･･こんなことすんの、俺だけにしとけよ」

「はあ？ 樹以外、有り得ないっての」

「もう、どうなっても知らないから」



俺よりは重いはずなのにひょいと持ち上がったその身体を寝室のベッドに沈める。

そのままもう一度キスしようとすると、それを制止するかのように下から手が伸びてきて俺の頬に触れると、俺を見上げながら君はこう言うんだ。



「樹が一番だよ。樹だけ」



Fin.

お知らせ(2021/12/1)→←Ep.4「Number one, Only one」青×桃

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