Ep.18「俺だけの君」青×黄 ページ40
ノンリアル、高校生
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side黄
まだ本格的な暑さとは言えない、初夏。
ボールを追いかけて風の中を切るように走る、最後の日。
今日はサッカー部の引退試合。
最後という事実に感じるはずの寂しさはどこかに置き忘れてきたかのように、今日も仲間とともに一生懸命に、楽しくグラウンドを駆ける。
20分の前半を終えて休憩に入ると、1人の後輩兼恋人が近寄ってきて俺にドリンクを渡してくれた。
「キャプテン! ナイスアシストっす! 次はゴール決めてくださいよ〜」
「だな! てか、樹は出ないの?」
「俺? 俺はいいです。まだ1年だし、ここでキャプテンのプレー見てます」
「そ? じゃあちゃんと見といてよ、最後くらいカッコイイとこ見せてやる」
「ふは、楽しみにしてます!」
短い休憩が終わって、後半が始まる。
先々週の公式戦最後の試合は、俺としてもチーム全体としても無得点で終わってしまい、正直悔いの残る結果になってしまった。
だから、最後の最後は、俺がゴールを決めるところを見てほしいんだ。
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あっという間に引退試合が幕を閉じた。
結果は2対2の引き分け。
2点のうちの1点は、俺が入れたもの。
残り5分で何とか決めることができた、最後のゴール。
樹は、タオルをぶん回して喜んでくれていた。
勝敗関係なく楽しかったし、ゴールを決められたからもう悔いはない。
試合後、感動的な最後の挨拶を終えて1人、帰り支度をしていると隣に樹が来た。
「帰ろっか」と俺だけに聞こえる声で言われ、小さく頷いた。
まだ昼すぎ。
学校を出て少し行くとある川沿いの土手の上をゆっくり歩く。
バッグを背負っていない方の手は、今にも樹のそれにあたりそうなもどかしい距離を保っている。
いつもは立ち止まらない帰り道だけど、今日は樹が土手の斜面に座ろうと言った。
バッグを横に置き、並んで座る。
すると、突然キュッと指が絡めれられた。
「・・・樹?」
「シュート、かっこよかったよ」
「あぁ、ありがと。・・・なんか、急に寂しいな」
「なんで?」
「もう部活終わりに樹と帰ることなんてないでしょ。そう思ったら、後悔はないけどもう少しやってたかったかな」
「別に会えなくなるわけじゃないんだし」
「うん、まあそうなんだけどさ。・・・ねぇ、樹」
「ん?」
「・・・まだ、帰りたくない」
「・・・じゃあ、うち来る? 家族みんな、夕方くらいまで出かけてるらしいから、誰もいないと思う」
「なら、行く」
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彩佑実(プロフ) - (かな名前)さん» コメントありがとうございます。パスワードを解読後、スクロールして頂きますと、下の方に◎と○の付いた文章がありそちらが条件となります。ご理解、ご協力頂いた後フォロリクを送って頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2022年6月10日 19時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
(かな名前)(プロフ) - コメント失礼します。Twitterの必読を見たのですが条件ってどこに書いてありますか? (2022年6月10日 19時) (レス) @page49 id: 937383c613 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - けーた。さん» けーた。さん、初めまして。コメントまで下さりありがとうございます。私も末ズのときの緑くんが好きなので早い段階で書こうと決めていました。楽しんで頂けてとても嬉しいです。不定期となりますが、これからも何卒よろしくお願いします:) (2021年11月30日 22時) (レス) id: 22c3e91f96 (このIDを非表示/違反報告)
けーた。(プロフ) - 初めましてで失礼します。緑くんが絡むお話が好きでお邪魔しました。実は他に推しCPがあるのですが赤くんとの時は右側の緑くんすごく好きでして。お話、とても楽しませて頂きました。これからも素敵なお話楽しみにしています✻ (2021年11月30日 21時) (レス) @page8 id: 857c9b8bce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩佑実 | 作成日時:2021年11月27日 23時