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side黒
ほんの1分くらいでスマホを置いた樹と目が合う。
「俺としてはほんとはこんなことしたくなかったんだけど、もうあっちが限界みたいなんだわ」
「え」
「だから、今から来るから」
「え、待って、樹」
「ごめん、断われなくて。ここは俺が払っとくから、ちゃんと伝えろよ」
「帰んの」
「じゃな。頑張れ、北斗」
俺の抵抗も虚しく、伝票を持って樹は帰っていった。
1人になった個室。
今から来る? ちゃんと伝えろ?
展開が急すぎて気持ちが追いついていない。
頭の中で1人グルグルしていると、早くも個室のドアがノックされた。
小さく返事をすれば、入ってきたのはやはり、京本だった。
コートを脱いでさっき樹がいたところに座った彼は、真っ直ぐ俺の目を見てくる。
逸らしたいけど、逸らせない。
「ごめん。俺が、樹に頼んだ」
「・・・」
「待ってるつもりだったけど、耐えきれなくなっちゃって」
「ごめん、俺が遅いから・・・」
「違う。俺が、好きすぎるから。話しかけては何でもないって去ってくとこも、好きだから」
「っ・・・」
「聞かせて? ゆっくりでいいから」
さっきから、彼は優しすぎる。
散々俺に焦らされておいて、この期に及んでもまだゆっくりでいいだなんて。
「・・・最初は、ただ知りたいだけだった。どんな表情をして、どんな表現ができて、どんな仕草や癖があって、どんなものが好きで」
「・・・」
「そしたら、色々知ってくうちにどんどん惹かれていって。気付いたときにはもう・・・。今だって、優先するのは全部俺の気持ち。そんなの、狡い・・・」
「・・・」
「そんなに、優しくしないで・・・どんどん好きになっちゃう・・・好きで、苦しい・・・」
「・・・北斗。隣、行っていい?」
話している途中から涙が溢れて止まらなくなった。
そんな俺を急かすも遮るもせず、静かに聞いてくれていた彼が隣に座る。
俺の涙を拭いながら両肩に手を置いて、目を合わせようとしてくる。
「北斗。どんどん好きになってよ。俺も、こんなに俺の事で泣きじゃくる北斗が可愛くて可愛くて、どんどん好きになってるよ」
「っ・・・京本」
「ん?」
今度こそ、言うんだ。目を合わせて、息を吐いた。
「・・・好き」
「俺も好きだよ、北斗」
胸に飛び込んだらギュッと受け止めてくれた京本。
温かくて、幸せで。
俺は耳元でもう一度、彼に伝える。
「大好き・・・」
Fin.
Ep.18「俺だけの君」青×黄→←Ep.17「Loving you」桃×黒
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彩佑実(プロフ) - (かな名前)さん» コメントありがとうございます。パスワードを解読後、スクロールして頂きますと、下の方に◎と○の付いた文章がありそちらが条件となります。ご理解、ご協力頂いた後フォロリクを送って頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2022年6月10日 19時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
(かな名前)(プロフ) - コメント失礼します。Twitterの必読を見たのですが条件ってどこに書いてありますか? (2022年6月10日 19時) (レス) @page49 id: 937383c613 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - けーた。さん» けーた。さん、初めまして。コメントまで下さりありがとうございます。私も末ズのときの緑くんが好きなので早い段階で書こうと決めていました。楽しんで頂けてとても嬉しいです。不定期となりますが、これからも何卒よろしくお願いします:) (2021年11月30日 22時) (レス) id: 22c3e91f96 (このIDを非表示/違反報告)
けーた。(プロフ) - 初めましてで失礼します。緑くんが絡むお話が好きでお邪魔しました。実は他に推しCPがあるのですが赤くんとの時は右側の緑くんすごく好きでして。お話、とても楽しませて頂きました。これからも素敵なお話楽しみにしています✻ (2021年11月30日 21時) (レス) @page8 id: 857c9b8bce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩佑実 | 作成日時:2021年11月27日 23時