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side黒
収まっていた涙が再び溢れ出すと、ふわっと体が包まれた。
そんなことができるのは目の前にいる樹だけで、驚いて思わず身を捩るとギュッと強く抱き締められた。
どちらのものかわからない、トクントクントクンと速い鼓動を感じる。
「わかる? 俺、今すげえドキドキしてんの。これでも嘘だって思う?」
「・・・でもっ」
「北斗。・・・好きだ」
「っ・・・樹、俺も好き・・・樹・・・!」
名前を呼びながら、樹の背中に手を回してやっとの思いで抱き締め返した。
樹の肩口を濡らすのもお構いなしに涙は止まることなく流れていく。
その間樹の右手はずっと、俺の髪を撫でたり頭をポンポンしたりしてくれていた。
暫くして落ち着いた頃腕の力を緩めれば離れる身体。
すると樹は、ジーパンのポケットを弄って何かを取り出した。
手が開かれるとそこにあったのは、挟むタイプで太めのイヤーカフだった。
「これ。北斗が耳に何も付けないのは知ってたけど、でもこれ見つけたとき、北斗に付けてほしいって思って。まあ、ほんとはクリスマスに渡すつもりだったんだけど・・・はは」
「待って、それなら俺だって・・・ほら、これ」
「え、フープピアス・・・マジ?」
「マジ。俺もクリスマスに渡したかったけど、男が男にプレゼントって恥ずって思って・・・」
「でも今もらった。マジで嬉しい。ありがとう、北斗」
「樹も、ありがと」
俺の右耳には樹から貰ったイヤーカフ。
樹の左耳には俺があげたフープピアス。
夢にまで見たその姿に、また泣きそうになった。
手を伸ばして樹のピアスを弄ってみる。
嫌がることもなく嬉しそうに微笑んだ樹に、俺はまた1つお願いをする。
「樹。今度は樹からキスして」
「いいよ。俺のファーストキス奪った責任取ってくれるなら」
「え、チャラいのに意外」
「うるせえな(笑)」
「ちなみに俺も」
「ごめんけど、意外ではない」
「う、うるせ。早くしろよ」
「うわ、煽られた」
「っんなつもりな・・・」
2度目は俺の言葉が樹の唇に吸い込まれていく。
自ら口を少し開けば樹の舌が入り込み俺のが絡め取られる。
さっきのとは裏腹に激しく、でも甘い味がするキス。
止まらなくなりそうと感じ始めたところで顔が離された。
「ちょ、その顔反則」
「見んなっ」
「やべえ、超可愛い」
「恥ずい・・・」
「ふへ。・・・北斗、今年もよろしくな」
今年も俺たちも、まだ始まったばかり。
Fin.
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彩佑実(プロフ) - (かな名前)さん» コメントありがとうございます。パスワードを解読後、スクロールして頂きますと、下の方に◎と○の付いた文章がありそちらが条件となります。ご理解、ご協力頂いた後フォロリクを送って頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2022年6月10日 19時) (レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
(かな名前)(プロフ) - コメント失礼します。Twitterの必読を見たのですが条件ってどこに書いてありますか? (2022年6月10日 19時) (レス) @page49 id: 937383c613 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - けーた。さん» けーた。さん、初めまして。コメントまで下さりありがとうございます。私も末ズのときの緑くんが好きなので早い段階で書こうと決めていました。楽しんで頂けてとても嬉しいです。不定期となりますが、これからも何卒よろしくお願いします:) (2021年11月30日 22時) (レス) id: 22c3e91f96 (このIDを非表示/違反報告)
けーた。(プロフ) - 初めましてで失礼します。緑くんが絡むお話が好きでお邪魔しました。実は他に推しCPがあるのですが赤くんとの時は右側の緑くんすごく好きでして。お話、とても楽しませて頂きました。これからも素敵なお話楽しみにしています✻ (2021年11月30日 21時) (レス) @page8 id: 857c9b8bce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩佑実 | 作成日時:2021年11月27日 23時