Ep.9「支配するもの」赤×桃 ページ18
ノンリアル
・
side桃
高校最後の夏休みに入る前日の放課後のこと。
『きょもどした？ 話って何？』
『あのさ、えっと･･･』
『何だよ、らしくないな(笑)』
『うん･･･俺、お前のこと好きなんだ。だから付き合ってほしい』
『え、マジ？ 気持ちは嬉しいけど、ごめん。言ってなかったけど、実は俺付き合ってるやついるんだ』
こうして体育館裏で俺の恋が終わりを告げたのが、たぶん1、2時間くらい前。
たぶんって言うのは、あれからすぐ家に帰る気にはなれず校舎内に戻ってぼーっと時間を潰していて、正確な時間がわからないから。
2年の頃から連んでいる仲の良い人たちの1人を、いつの日か恋愛感情として好きになっていた。
ここは男子校で男同士で付き合うなんて割と当たり前で、かつそのグループの中では自分が彼と一番仲良いと思っていた。
だからワンチャンなんて考えていざ勇気を出して告白してみたはいいものの、まさかの恋人持ち。
全然知らなくて見事に玉砕した。
少しでも期待してしまった自分が恥ずかしくて過去に戻りたいなんて思っていたら、気付いたら屋上まで来ていた。
まあ実際には屋上は入れないから、その手前の階段の一番上の段に1人座っているんだけど。
夏休み前最後の日とだけあって今日は生徒は早く帰っていて、知らぬ間に夕方を迎えていた今は恐らく残っているのは俺くらいだと思う。
流石にそろそろ帰ろうかと思い始めた頃、突然視界が暗くなった。
外が暗くなってきたから、ではなく、物理的に何かが俺の前に来て視界が遮られたのだ。
驚いて顔を上げると、ハーフ顔のスラッとしたイケメン大男が立っていた。
ぼーっとしすぎて何の音も入ってきていなかったみたいだ。
その男はポケットに手を入れたまま俺の顔を覗き込んできた。
「こんなところで何してんの」
「あ、いや、別に。そっちこそ何して･･･」
「涙の跡」
「え」
「泣いてたの。なんで」
「泣いてないし、だとしても君には関係ないよ」
「まあまあ。人に話せば楽になることあるじゃん」
初対面なのにどうしてこんなに図々しいんだ。
おまけにぶっきらぼうなんだか優しいんだかよくわからないし。
でもこの恋をなかったことにはしたくなくて、ちゃんと過去にしたくて。
気付いたら名も知らないこの男に簡潔にだけど経緯を話していた。
相槌も打たず、俺の数段下で手摺りに寄りかかって最後まで聞き終えた彼は、いきなり俺の横に座り込んできた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩佑実(プロフ) - (かな名前)さん» コメントありがとうございます。パスワードを解読後、スクロールして頂きますと、下の方に◎と○の付いた文章がありそちらが条件となります。ご理解、ご協力頂いた後フォロリクを送って頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2022年6月10日 19時) (
レス) id: ca4215401f (このIDを非表示/違反報告)
(かな名前)(プロフ) - コメント失礼します。Twitterの必読を見たのですが条件ってどこに書いてありますか？ (2022年6月10日 19時) (レス) @page49 id: 937383c613 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実(プロフ) - けーた。さん» けーた。さん、初めまして。コメントまで下さりありがとうございます。私も末ズのときの緑くんが好きなので早い段階で書こうと決めていました。楽しんで頂けてとても嬉しいです。不定期となりますが、これからも何卒よろしくお願いします:) (2021年11月30日 22時) (レス) id: 22c3e91f96 (このIDを非表示/違反報告)
けーた。(プロフ) - 初めましてで失礼します。緑くんが絡むお話が好きでお邪魔しました。実は他に推しCPがあるのですが赤くんとの時は右側の緑くんすごく好きでして。お話、とても楽しませて頂きました。これからも素敵なお話楽しみにしています✻ (2021年11月30日 21時) (レス) @page8 id: 857c9b8bce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彩佑実 | 作成日時：2021年11月27日 23時
