イタドリの実を潰したのなら。 (ページ3)

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夢も希望もある川田が命をたった。褒められることではないよな、殺された人も死にたくなくても死んだ人がいる。
アイツはそんな人たちを病院で見てきた、子供が病院で苦しみに悶える姿も。なのに死んだんだ。正解とか不正解とかの問題じゃねぇよな、本人の気持ちだから。

お前は死ぬなよって？…何とも言えないけど頑張るよ。難しいよな、難しすぎる。
俺が存在するだけで駄目なのにさ。宿儺の器なんて。あぁ、俺は道具だ。頼むから悲しい顔するなよ。俺はお前を救うから。

だけどさ、死ぬなんて思わなかった、なんてさ。普通思わないじゃん。完璧にそんなの考えながら生きてたら本当に凄いと思うし、同時に心配するよ。今に吐き出してもどうしようもないけど。
葬式場をボーッと眺めて、あぁ俺は川田にとって知り合いでしかなくて辛いことがあっても相談出来るほど友好的な感情を持っててくれてなかったんだなって。そりゃそうだよな、名前を葬式で知るとか、友達じゃあり得ねぇもんな。

我ながら最低だな、とか思ったり。

そしたらさ、誰かが白い葬儀場から此方に向かって歩いてくるの。腰が曲がって、やけに真新しい杖をついて歩く婆ちゃんだった。
渋柿みたいなしわくちゃの顔をしてたんだけど、なんて言うんだろう。凄い品のある婆ちゃんだったんだ、一般ピープルとは違う良家の人みたいな、そんな感じ。

その婆ちゃん、俺の前に来たと思ったら破られたノートの切れ端みたいなのを無言で渡してきた。直ぐに振り返って、心配する人たちの元に帰ろうとしてたから、少しだけでも話を聞こうと思って引き留めたんだ。

「川田の婆ちゃんですよね。」

雨で辺りは真っ暗。そりゃもう不吉な日。雨の滴を弾くビニール傘には滝が出来そうだった。婆ちゃんは再度重々しく振り返ると“そうですよ、虎杖くん”って呟いた。藤田みたいな明るい口調じゃなくて、日本庭園が似合うような声だった。

…おい、笑うなよ。俺は頭良くねぇんだよ。こっちは語彙力がねぇーの！いや、確かに日本庭園が似合う声って何だよとは思うけど。緑茶飲んでそうな感じ？

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