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「出来たぞ、見ろ!見ろ!」
「はい見た見た。…たしかによく出来たじゃかいか。成長したな。素直に嬉しいよ」
どれくらい経ったのだろう。いつの間にかライザに任せた処理が、思ったより出来ていた。過去のわたしに教えてあげたい。なんど教えて諦めかけたことか…。ふと目線を下に下げる。
ライザの手は刃物の跡がついていた。血は出ていなかったが、手を握って、傷は大丈夫かと尋ねる。大丈夫だと普通の回答が帰ってくる。なぜか虚しくなった。気づかないふりをして、そうか、とだけ返した。
「内蔵に異常は見られないんだな?」
「おう」
たしかに白い斑点などは見られない。探掘家はテキトーに料理を済ますやつが多いが、わたしがこだわるタイプゆえに、この隊はかなりしっかりとした料理をする。仲間も美味しいものが食べれるならと文句は言わない。ウィン・ウィンの関係だ。
あとは肉と皮を切り離しながら剥ぐ。そして肉を部位ごとに解体した。個体自身は大きくないものの、なんせ数が多かった。
近くにいた隊員に骨を使って出汁を作るよう願う。コイツはわたしと同じ黒笛だった気がするが、どこか気が弱そうだ。ライザは手伝うぞと言って駆けていく。
スープはあちらに任せればいっか。そうして、わたしはただ黙々と下準備と調理を進めた。リュックから香辛料を取り出して、隊員が取ってきた卵を茹で始める。マゴイモもあるし、今日はたくさん食べれそうだ。
離れた場所で、怪我をした隊員、それを手当していた者、サボっていた奴、他の料理を作っていた者などを呼び寄せる。食事の時間だ、野郎ども。そう叫ぶと、一気に隊の士気が上がったように感じる。
「お前は食事にこだわるよな。なんでだ?」
「父が漁師だった。生命の大切さは、刷り込まれてきたんだ。おかげで食事がとても大切な事だと理解出来ている。父に感謝しない日はないよ」
ちなみにこのネリタンタンとか言う生物はアマカガメの近くによく居る。しかし、このアマカガメの体内に落ちて、その中から一定の攻撃を与えると脱出できるのだが、その瞬間ネリタンタンが猛ダッシュで襲ってくる。下手したら殺されるから気をつけるといい。
そう右隣に座っていた男に声を掛けると、男は黙って体を縮こませた。
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作者名:レネット | 作成日時:2022年11月2日 15時