検索『かにう”ぁりずむ』検索結果『横浜の喫茶処＊２店舗目』【文スト】×【東京喰種】

story50─過去仕舞い ページ23

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「……」



目を開けた先に広がるのは、木製の机。どうやら仕事中に眠ったいたようだ。生憎、章友君は買い出しに行っていた。

……また、夢を見た。酷く懐かしく、仕舞っておきたかったくらいの醜い夢。
私が孤児になって歩んだ道を示した夢。たくさんの出会いがあった夢。……厭な夢を見た。

あの地獄夢図を見てから朧気だった昔の記憶が、夢によって現実味を増してきた。……いや、これは現実か？それすら分からない。

ただ一つ分かることは、先程も思ったこと。



「───私の過去、ねぇ……」



喰種に対抗する喰種として鳩に保護されて以来、ずっと忘れていた私の過去。大方、鳩が私に不要だと思った情報を消したのだろう。
……まだ、大部分は見えていない。だが、この夢の続きを見ることによって、私の中にある人間への価値観が変わるのであろうと思う。



「弓月様？」



その一言で思考の中から現実へと戻った。いつの間にか、章友は買い出しから帰ってきていた。



「……ごめんね、章友君」

「へ？あぁ。別に気にしてませんよ。弓月様は店があるので此処を離れられないでしょう？」



『そういう意味じゃない』。そう云いたかったが、章友君の無垢な笑顔を見て、その言葉を飲み込んだ。




─君のこと、嫌いになるかもしれないのに─









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