燈 (ページ6)

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君のことを捜す人-1 ページ6

≫A side

ーー柏桜会あさひ海浜病院

ーーー救命救急センター救急科

「けーさつ…？私に？」

「はい、東京中央署の方だそうで」

「えー…今からお昼なのに…」

救急科の看護師さんが来客を告げに私の前に現れた。

何でまたお昼の休憩のタイミングで…。

少しテンションが下がる。

事件絡みの患者さんなんて居たっけ…？

ああ、身元不明者の聴取かな？

何の件かてんで検討がつかぬまま、重たい腰を上げてスタッフルームを出ると来客の元へ向かった。

「…東京中央署知能犯係、神志名と申します」

「はあ、初めまして…救命救急医のAです。何かご用で…？」

スーツをカチッと着こなし、警察手帳というやつを私に示して自己紹介をする男性。

若い刑事さんだなあ…年下？同い年くらい？と思いつつ、早いとこ話済ませてくれることをちょっとだけ願いながら話を伺う。

「…6年前、腹部を刃物で刺された当時高校生の男性の救命に関わったと伺い、今日来ました」

刑事さんの言葉を聞いて、6年も前の話を今になってどうして？とシンプルに疑問に思った。

6年前…となると私はまだまだ研修医だったが…記憶を思い起こし、思い当たる1人の患者。

確か、父親が一家無理心中を図って、万能包丁で刺された…。

今でも忘れはしない、私が医師になって初めて命を救った人。