燈 (ページ4)

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君を助けた日-3 ページ4

回腸損傷、腸間膜損傷、左尿管損傷……。

主な出血源と思われた腹腔内の損傷を確認していると、刺創は左大腰筋にまで達していたことがわかった。

損傷を受けた後腹膜から活動性の出血、加えて術中にDeadly triadの徴候を認めて、出血コントロールと全身状態の立て直しを優先と判断。

ひとまずDCSとして後腹膜部にガーゼパッキング、ドレーン留置を行い、開腹創はドレープで被覆した。

ICUに移動して丸1日。

全身管理の徹底の結果、バイタルサインは安定した。

血液凝固機能も回復したところで、再開腹。

ガーゼパッキングにより止血も十分にされ、損傷部位の縫合修復を行い閉創とした。

専攻医1年目にして初めて受け持った患者。

出血が中々止まらず、一時はどうなるかと思ったが、彼の回復力もあって何とか命を繋ぎ止めることが出来た。

「大血管を傷付けてなかったのは幸いだったなあ。よく頑張ったな、お疲れA先生」

「いえ、片岡先生と消化器外科の先生のご指導頂きつつでしたので…こちらこそ、ありがとうございました…！」

「じゃあ、後ご家族の方に説明よろしくね」

「はい、お疲れさまでした」

オペ室を出て行く片岡先生の背中を見送り、私は彼の唯一のご家族の元へ、無事オペを終えたことを伝えに向かった。