推しの推し2 (ページ10)

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弁明ページ10

≫A side

「ほんの出来心で…Aちゃんの事ネットで調べたんだ」

勿論何処にも私の現在が知れる情報なんて無かったらしい。

あったとしてもどれも噂レベル。

でもカイちゃんはその噂レベルの話が“噂じゃ無いのかも”と感じていた。

そこには“ただの社会人が”とは書かれていなかったけど、踊ってみたを投稿している女性と書かれていたらしい。

先ずそれで“もしや？”と思ったと。

私は彼に年齢も明かしてしまっていたから、AAと年齢が同じことにも気が付いた。

それに、素顔も知っている。

レンくんと3人で食事をした時だ。

初めて見た筈の私の顔に、既視感や何処か面影を感じたと。

真実を訊ねた所で私はきっと答えてくれない。

そう思った彼の考えは正にその通り。

私もその時はきっと誤魔化して乗り切っていただろう。

確かめたくて、確かめられずに。

カイちゃんはカイちゃんでずっと、確信めいた感情を抱いていて。

「俺が調べたりしなければ俺もモヤモヤしなかったし…こうやって、俺がAさんがAちゃんだって気が付くことも…Aちゃんも秘密にしたかったんでしょ？」

“だから、ごめん”。

そう口にするカイちゃんの表情は分かりやすく気を落としていた。

私がAAである事を隠そうとしていたのは感じていたらしい。

でも私がAAだと知った今、もしもカイちゃんが私の正体に気が付いていなかったら…。

それはそれで自分の憧れの人なのに気が付かなかったことにショックを受けるんだろう。

今彼が見せている気が落ちた表情は、その“もしも”を想像して、どちらに転んでも気分が下がる結果に繋がっていたと思っての彼の表情とみた。

やはり彼は嘘を付けないというか、自分に正直だなって思う。

「興味には抗えない…ですよ。カイちゃんは悪くない、全部偶然が産んだ結果」

それに謝るべきは私の方。

「嘘付いて隠し事して、巻き込んで…本当にごめんなさい」

抱える膝に額を押し付けて、言葉に合わせて私は頭を下げた。