“仲良しレベル” ページ37
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飲んだり食べたりしながら、“好きな食べ物は？”とか“お仕事は何系？”だとか。
まさに“Aさんについて知る会”だったと言ってもいいと思う。
俺がまだ知らなかったことを含めて沢山質問して、彼女もまた答えられる質問には１つひとつ答えてくれた。
程よくお酒も回って、大分打ち解けて来たかなって時。
レンは不意に“はいっ”と挙手してまたAさんに質問を投げ掛ける。
「社会人さんは普段もずっとマスクしとるん？」
「え…？」
聞き返す彼女。
ここ暫く流行り病の影響で、誰も彼もマスクを着けていた時期は確かにあった。
でもそれも緩和されて、今は病が流行る前とほぼ変わらない。
普段からマスクを着けているなら何か理由でも有るのかと、レンもほんの僅かな興味で訊ねたんだと思う。
「いや、だってマスク外して飲んで食べてしとる時から思っとったんやけど…」
瞬間、ハッとした様子でAさんは自分の両手で顔を隠す。
けれど言われて気が付いたかのように隠す理由…Aさん天然なの…？
そんなに注目されてる思わなかったのかな。
今更な感じがする彼女の行動が面白くて、俺とレンはそれをツッコみつつ笑いを溢す。
「綺麗な顔しとるのに、勿体無いなって俺は思っただけ」
俺も彼女の素顔を見るのは今夜初めてだ。
確かに彼女は綺麗だ…というか何処かで見た覚えが有る気がするのは、気のせい？
「キレイとか滅多なことサラッと言わないでください…寿命が3年縮みます」
「っふ、寿命って」
顔隠したままそーっと指の隙間を開けて、俺らのことを覗き見るAさん。
レンに冗談混じりに言葉返すと更に続ける。
「…仲良しレベルが上がったらお話できるかも…知れませんね」
「っふふ、え…何なに“仲良しレベル”って」
レベルなんて有るんだ？
「俺らはゲームのプレイヤーなん…？」
レンの言う通り、ゲームみたいな面白い言い回しするなあって思った。
そんな風に言われたらこっちだってレベル上げしたくなっちゃうじゃん。
「え、今俺らは何レベですか？」
俺は気になって掘り下げる。
そしたらAさんは答えてくれた。
10段階の内の2レベ寄りの1レベだって。
2レベル寄りってことはじわじわ上がってんだけど…ちょっと待ってめちゃめちゃ低くない？
雰囲気的に仲良くなれてきたと思ってたのに！？
もう、Aさん面白すぎるんだけど。
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作者名：千草 | 作成日時：2023年10月27日 12時
