推しの推し (ページ4)

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ファンサページ4

≫A side

私がカイちゃんを知るきっかけ、それは大学生活2年目の時にあった。

同じ専攻を取っている友人に打ち明けられたのは、とあるアーティストが好きだということ。

そしてそのアーティスト、“King&Prince”のコンサートに一緒に行かないかと誘われたのだった。

当日、初めての体験に胸をドキドキと高鳴らせながら会場に足を運んだ私。

会場内は女性のファンで殆ど埋め尽くされ、皆それぞれ彼らを応援するためのグッズを胸の前に掲げている。

キラキラと眩しいステージに黄色い歓声。

聞けばまだグループとしてデビューしてまだ間もないらしい。

それなのに大勢のファンとこの熱量。

圧倒される私も周りの方々に倣って、「ハイ、これ持って！」同行した友人に借りた大きな団扇を手にしていた。

しばらくすると、イメージカラーらしい黄色の衣装を身に纏った男の子が目の前を通り掛かった。

男の子は私に指をさす。

キョトンとしている内に手を振るもんだから、私はどうしたものかと、よく分からない中途半端な高さで手を上げたり下げたりを繰り返した。

あ…なんか私の挙動がツボだったらしい。

クシャ、と彼は歯を見せて笑って見せたのだった。

その笑顔がやけに瞼に焼き付いて離れない。

つまりはこの瞬間、私は彼に落ちてしまったのだ。

そこからは彼に目が離せなくて、コンサート終わるまでずっと彼の動きを目で追いかけていた。

「…あの黄色の子、何て言うの？」

コンサート後にコソッと隣の友人に聞いて、初めて名前と顔が一致する。

“髙橋カイト”君。

“あの時きっと、彼の写真が載る団扇を手にしていたから気が付いてファンサしてくれたんだよ”と友人は教えてくれた。

「ファンサ…私に…」

「なになに、カイちゃんが気になるの？」

「え…うん、まあ…」

同行した友人にそう答えると、目を輝かせて私の両手を取った。

「“推しメン”だね！」

「…おしめん」

「そう！よかったよぉ、今日楽しんでくれたみたいで」

“ずっとこうして一緒に楽しめる仲間が欲しかったんだよね…”と呟いて、握ったその手にギュッと力を込められた。

「…こちらこそ、お陰で素敵な“推しメン”に出会えたし。誘ってくれてありがとう」

満足そうにニコニコと表情を和らげる友人に、私も思わず頬を緩める。

こうして“推し”を見つけた私は、この友人と一緒になって彼らを応援するようになったのだった。