推しの推し (ページ22)

今日:43 hit、昨日:15 hit、合計:29,146 hit

蝶の様に舞った果てページ22

≫A side

“ただのしがないファン”の舞踏。

果たして何処まで波紋を呼ぶ…？

　【バタフライ効果(ｰエフェクト)】

アメリカの気象学者、エドワード・ローレンツが1972年の講演会で用いた表題「予測可能性：ブラジルでの蝶1匹の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか？」に多くは由来されるというこの言葉。

ある現象系に僅かにでも変化を与えると、やがてそれは変化が無かった現象系とは大きく異なった現象系へと変化してしまうことを指す。

自然科学に於いてのこの用語が転じて、その意味合いから幅広い状況、状態にも用いられるようになった。

日本の諺で言うところの「風が吹けば桶屋が儲かる」に近しい。

…私を取り巻く今の状況は、正にこの言葉に当たるか否か。

相談と言うからに緊張で身を固くしていれば、また想像の斜め上を行く内容だった。

ーーーーーーーー

今度は俺が、社会人さんが投稿している動画のオリジナルの振りを踊っていいですか？

実は既に少し練習していたりして…。

もし駄目だったら返事ください。

ーーーーーーーー

いや、もう既に練習している…って。

偶々、本当に偶々私の【踊ってみた】がバズって本人の目に留まっただけなのに。

私の何が彼を虜にしたのか分からない。

“駄目だったら”と言われても、私には断る理由も無いし…大好きな推しに自分のオリジナルの振付けを踊って貰えるなんて、それこそそんな光栄な事は無い。

今度の返信の文言は、時間をかけて考えずとも思いの外サクッと書き込めた。

“宜しければ、”と。

話はとんとん拍子に進む。

私のオリジナルの振りで踊りたいというメール。

返信したら、タイミングが良かったのか直ぐに更に返事が来て、“じゃあ落ち合いませんか？”って。

始め、メールの内容が汲めなくて頭の中は疑問符で埋め尽くされた。

3回くらい読み返してやっと状況整理。

つまりは私が考えた振付けだから、都合さえ合えば来て欲しいと言うことらしい。

日程の希望を聞かれたから答えて、そうしてあれよあれよと言う間に直接会う約束を取り付けてしまった。