【男性声優】さ い だ ー が ー る ! ! ４【愛され】

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ガチャリッ…とドアノブを支えてゆっくり閉める。

五人の先輩は、部屋のすぐ手前で立って並んでいた。


Aもその列に並ぼうとするが、｢いや、Aちゃんは前に立ってくれ。｣と手招きされて、仕方なく監督が居る机の前に立った。

手を前で握りながら、｢どうかされましたでしょうか。｣と無表情で淡々と述べる。

Aは、嫌いな相手であればあるほど｢嫌そうな顔｣があからさまにでる。

この監督も別に好意がある訳では無いので、表情はピクリとも動かさない。


すると、椅子からおもむろに立ち上がった監督はAのすぐ横にまで来て汚らしく腰に手を伸ばしてきた。

すぐ耳元で吐息がかかる。

｢…あぁ、やっぱり。｣と内心呆れる。


こんなセクハラを先輩達の前でやって何が楽しいのだろうか。

アホらしい、馬鹿らしい。

もっと言うなら、腹立たしい。



鈴｢…｣

木｢…｣

監｢Aちゃん、最近ミスが多いみたいだね。｣

｢申し訳ありません。｣

監｢はははっ、もうちょっと反省の色を見せるような顔は出来ないのか？｣

｢…元から、こういう顔ですので。｣

柿｢監督、そんなに距離が近くなくてもいいんじゃないですか？｣

前｢そうですよね。｣

監｢嫉妬は良くないよ〜柿原くん。｣

柿｢…いえ、そんなつもりじゃありませんから。｣

前｢…。｣



どんどん際どくなってくる手の位置に、見向きもしない。

Aが新人だから出来ることだ。
クズ以外の何物でもない。

でもここで、それこそアニメのキャラクターのようにカッと言ったりしては、Aは声優としての職を失うことになる。


だから耐えるのだ。

こんなクズでも。









｢…監督、そろそろいいですか。｣


監｢いやぁ…本当は夜もご一緒したいところなんだけどねぇ…。｣


｢監督既婚者でしたよね。私、夜は基本忙しいので。…あ、次の仕事押してるので失礼しますね。｣





醜い欲望の塊に、反吐が出る。

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