禁忌肢 ページ24
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「Aちゃん、放課後ちょっといい?
できれば、4階に、来て欲しい、です」
クラスメイトの藤本さんに話しかけられた。
4階はほぼ使わない特別教室があるだけで、ほとんど生徒の立ち入りがない場所だった。
存在は知っていたもののクラスが一緒になるのも今年が初めてで、ちゃんと関わったことはないけれど、確かずっと美化委員で、誰よりも気の利く優しい人だったはずだ。
藤本さん。藤本さん。
4階の第二音楽室の前に行くと、すでに藤本さんは所在なさげにウロウロとその場を歩き回っていた。
「…藤本さん?」
「ひゃぁ!?は、はいっ!」
「っ、ごめんね、驚かせちゃって」
いえいえ、ごめんなさい!と平謝りな彼女。案外面白い子なのかもしれない。
「あの、単刀直入にお聞きしてもいいですか?」
「…うん?」
「その、えーと……水上くんと仲、いいですよね」
「……そうなると、思われます…」
そうだよね、合ってるよね?自意識過剰とかではないはず。
「付き合って、ますか。」
「……ない、です」
「好きですか…?」
「…………………………」
ここでどう答えればよかったのか、きっと十年経ったってわかりっこないだろう。
数年経った結果はどうであれ、あの時からしたらそこで黙りこくるのはきっと、禁忌肢だった。
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沙月(プロフ) - な、僕の初めて覚えて、好きな百人一首じゃないか...つられて読みにきたらおもしろい...お気に入り登録させていただきました! (2019年9月25日 22時) (レス) id: b7d8d46a43 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - すぺるさん» わあああ!!!!!できました(;-;)ありがとうございます恩人です本当にありがとうございます(;-;) (2019年8月10日 22時) (レス) id: b994d8a981 (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - 続編は、前編の編集ページの最後らへんに挿入部分がありますよ…! (2019年8月10日 21時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - マロンさん» ありがとうございます;;調べたところそのような事例もあるようなのでご都合主義が過ぎますが、修士を飛ばすという形にさせていただこうと思います。参考になりました!本当にありがとうございます! (2019年7月27日 8時) (レス) id: b994d8a981 (このIDを非表示/違反報告)
マロン(プロフ) - はじめまして。大学院の制度ですが私の高校の時の恩師が大学卒業後修士をすっ飛ばして博士に通ってました。学校によるのかもしれませんがそういう制度があるにはあるみたいです。ただし審査がとても厳しいみたいですが… (2019年7月27日 0時) (レス) id: 84c575c695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら | 作成日時:2019年7月20日 8時