在りし日 ページ2
your side
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「颯くんも自転車で来ればいいのに。」
「え〜…疲れるからいいよ」
じゃあ今なんで私を後ろに乗せて自転車を漕いでいるんですか。
まあ想定解はとっくに出ている。学校から、駅とは反対側の図書館に行くため。その足として選ばれたのが私の自転車で、私はただのおまけだ。おまけがこんなに重くていいのかという疑問はとりあえず置いておく。
いつこうなったのかもどちらから言い出したかも覚えてないけれど、毎日毎日颯くんは私の自転車を漕いで、私は後ろに乗って颯くんのワイシャツのお腹のところを掴む。
「……暑いね」
「…なんか言った?」
ブレーキもそこそこに坂を下る。長くて急な坂だから最初は怖かったけど、今ではそのスピードが楽しみだったりする。
風の音に遮られて私の声は颯くんまで届かなかった。届かなくていいんだ。言っちゃえ。夏の太陽に急かされて、今日も私は届かない気持ちを伝える。
白い背中に顔を埋めて
「すき」
と呟いた。
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沙月(プロフ) - な、僕の初めて覚えて、好きな百人一首じゃないか...つられて読みにきたらおもしろい...お気に入り登録させていただきました! (2019年9月25日 22時) (レス) id: b7d8d46a43 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - すぺるさん» わあああ!!!!!できました(;-;)ありがとうございます恩人です本当にありがとうございます(;-;) (2019年8月10日 22時) (レス) id: b994d8a981 (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - 続編は、前編の編集ページの最後らへんに挿入部分がありますよ…! (2019年8月10日 21時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - マロンさん» ありがとうございます;;調べたところそのような事例もあるようなのでご都合主義が過ぎますが、修士を飛ばすという形にさせていただこうと思います。参考になりました!本当にありがとうございます! (2019年7月27日 8時) (レス) id: b994d8a981 (このIDを非表示/違反報告)
マロン(プロフ) - はじめまして。大学院の制度ですが私の高校の時の恩師が大学卒業後修士をすっ飛ばして博士に通ってました。学校によるのかもしれませんがそういう制度があるにはあるみたいです。ただし審査がとても厳しいみたいですが… (2019年7月27日 0時) (レス) id: 84c575c695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら | 作成日時:2019年7月20日 8時