一度、出逢ってしまったら[完] (ページ5)

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「ほんっと、ごめん」

『や…私は大丈夫だけど、』

何なら他のメンバーさんには会った事あるし。(挨拶とか少し話した程度だけど)

田中さんだけじゃないかな。まだ会った事なかったのは。

「…あーぁ。樹にだけは会わせたくなかったんだけどなぁ～」

『、どうして？』

「女なら見境いないのよ。アイツ」

…あぁ。そういえば"爆モテじゅったん"なんて異名持ってるんだっけ。

本気を出せば四時間で落とせる発言していたとも何かで見た気がする。

だから会わせたくなかった、って事？
…バカ北斗。そんなの期待しちゃうじゃん。

「ちょいちょい～。いくらなんでも酷すぎん～？」

マジ泣くよ？ってお盆にお酒を乗せて持ってきた田中さんが戻ってきた。

「はい、Aちゃん」

『あ…ありがとうございます、』

「いーえ」

目尻をクシャッとさせ微笑む顔は確かにちょっと可愛いらしい。

目を見ながらっていう所もポイント高いのかも。

「ほい、北斗」

「サンキュ。ってかAの事、気安く呼ばないでくれる？」

「だって名字知らねーもん」

「ならせめて、さん付けしろって」

「やだよ。距離、感じるじゃん」

ねぇ？ってまた同意を求めてきた田中さんには申し訳ないけど、あはは⋅⋅⋅と苦笑いをしておいた。

だって距離、詰める必要ないし。

「っつーか、俺だって誰彼構わず手ぇ出さねぇから」

ましてやメンバーの彼女なんて論外だろ。って。

……彼女、か。

無意識に痛いとこついてくるな。このピンク野郎。

なんて毒づいてみる。

『……、ないです』

「え？」

『…私、北斗の彼女ではない、です』

北斗の口から否定されるのが嫌で自らそう口にした。…それでもやっぱり虚しいけど。

「え？じゃあ…、」

『……友達、です、』

北斗の反応が見られなくて言ってすぐ目線を下げる。
すると、へぇ。友達、ね。と田中さんの声。

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