一度、出逢ってしまったら[完] (ページ27)

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「…とりあえず移動するから」

『あ…はい、、』

後部座席の方からカチッとシートベルトを着けた音が聞こえたのを確認して車を走らせた。

って言ってもどこ行くか。
いくら車ん中でもあんな薄着じゃさみぃよな。
ずっとエンジンかけてる訳にもいかねーし。

…ホテル？いや。それは俺が色んな意味で無理だ。

ってなると俺んちしかない、よな？

…ぜってーダメって言いそう。
バレたらどうするですかってまた言われるのか想像ついた。

でも他に場所はない。しゃあねぇだろ。

「…やっぱ帰るか？それとも…俺んち、来る？」

…なんて。我ながらズルい聞き方だなと思う。
帰れないって分かってて他の選択肢が一つしかないんだから。

でもこうでもしなきゃ来ないじゃん。コイツ。
背に腹は代えられないってヤツだよ。

『…大丈夫、なんですか？迷惑じゃ、、』

「ダメだったら言わねぇから。…決まりな」

『…ごめんなさい、、』

「だから良いって」

…っしゃ。ってちょっと不謹慎かもだけど心の中でガッツポーズして。
車を俺んちに向かって走らせた。

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『お…おじゃまします、、』

「ん。テキトーに座ってて」

なぁんて澄ました感じで彼女を中に招き入れた俺だけど。

実は駐車場まで来てから部屋の中の惨状を思い出し念のため。と適当な理由を付けて10分してから来て！と告げて急いで片付けたと言う裏話があったりなかったり。笑

でも洒落た飲み物とかはないから仕方なく冷蔵庫からペットボトルの水を出しAの方に行こうとして足をピタッと止めた。

…何か、借りてきた猫みたいだな。笑

Aを見ればソファではなくラグの上に正座してキュッと縮こまってて。

緊張してんのが目に見えて分かった。

「…わり。水しかないけど」

『、あ、いえ。ありがとうございます、、』

そんでもキャップを取って手渡すと飲んでホッと一息ついてたっぽいから早速だけど切り込んでみる事に。

「…北斗と何があったか話せそ？」

『……多分、北斗とはもう終わったと思います』

「、え？」

北斗と終わった？どゆこと？

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