・優しさ ページ23
・
これは100%僕が悪い。
些細な言い合いの最中に「Aより___の方が優しいよ」と架空の女の名前を出してしまった。
ちょっと妬いてほしかったのに、大変なことになってしまった。
『……悟に優しくできなくてごめん』
Aはいつもと表情ひとつ変えず、携帯だけ持って家から出て行った。
天気も悪いし、財布も置いて行ってるしすぐに帰ってくる。
そう思って追いかけなかった。
「グズン……傑どうしよ、Aが……」
夜中になっても帰ってこないし、電話も出ない。
傑に電話して、探すよとは言ってくれたけど心配でたまらない。
こんな事ならさっさと謝ればよかった、追いかけたらよかった。
後悔先に立たず、とはこの事。
朝になってもAは帰って来なかった。
「硝子のとこに連絡来てないの?」
「来てないし電話も出ない
お前マジで人生終わったな、お疲れ。」
もういっそのこと全部片っ端から建物破壊して探そうかな、なんて考えていた時だった。
必要最低限しか連絡をしない、僕からの連絡は大体無視する直哉から《Aちゃん来てんで》と一件のメッセージ。
「Aのところ行ってくる!!」
向かった先はもちろん禪院家。
「遅いお迎えやん」
「迷惑かけてごめん、Aは?」
「(この人謝れるんや……)」
中に通してもらうと、箒で庭の枯れ葉を集めるAがいた。
「Aちゃんに泊めてって言われた時何事かと思ったわ。
あ、もちろん京都校には仕事しに行ってたで」
「よかった、無事で……
A、迎えに来たよ。嫌な気持ちにさせてごめんね」
『……私優しくないから他の人と比べられた事許せない……』
大きな目に溜まる涙。
瞬きと共に溢れて落ちた。
『自分の夫にも優しくできないのに、人の優しさには甘えてここに泊めてもらったし……』
「Aごめんね、僕が悪かった。一緒にいるのが嫌なら僕が出て行くから一旦帰ろう?」
『……出て行ってごめんなさい』
決壊したダムのように涙が出てくるAを強く抱きしめた。
気を遣われたのか客室に通してもらってAが落ち着くのを待った。
僕がAを泣かせてしまったのは初めて。
大事にするって決めたのに、ホント自分の馬鹿さに呆れる。
『帰ろ』
「そうだね」
仲直りのキスをして、禪院家を後にした。
二度と傷つけないと心に誓って。
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sou(プロフ) - 甘々五条さんとっても素晴らしかったです!!こんな素敵な作品をありがとうございます!! (2022年2月15日 11時) (レス) @page25 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
ざりがに(プロフ) - 五条先生推しではなかったのですが、めちゃくちゃ好きです!笑勝手ながら、くまこさんの他の小説もたくさん読ませてもらってます♡これからも、よろしくお願いします。 (2022年2月14日 23時) (レス) @page25 id: f02a20b810 (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - riyaさん» いつもコメントありがとうございます!キュンキュンしてもらえたなら良かったです☺️また機会があればよろしくお願いします!ありがとうございました✨ (2021年12月7日 12時) (レス) id: b0f5221857 (このIDを非表示/違反報告)
riya(プロフ) - 五条悟浮気小説が多い中。キュンキュン素敵な物語を読ませてもらいありがとうございました。次回作また楽しみに待ってます💖 (2021年12月7日 9時) (レス) @page25 id: 0599723b2d (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - 雨宮さん» 驚かせてしまってすみません(*_*)嬉しいお言葉ありがとうございます!今は下書きですが、また近々平和な世界線でのお話公開するので気が向けば覗いてみてください(^o^)更新頑張ります! (2021年11月12日 12時) (レス) @page18 id: 05d493dbab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くまこ | 作成日時:2021年10月9日 10時